千葉県高校入試 問題の分析

2016年度 前期入試総括

小林聖玲奈

小林聖玲奈講師

今年度の千葉県公立高校前期入試は、2月9日、10日の2日間に亘って行われました。今年度は前期入試の日程と、都内の私立高校の入試が重なるという状況の中、県内、県外の受験生42,920名が前期入試を受験しました。

前期入試で最も人気が高かった高校が船橋高校です。実質倍率3.35倍という高倍率となりました。次いで千葉高校の3.24倍、千葉東の2.91倍、東葛飾の2.78倍となりました。東葛飾高校は昨年度の3.02倍から大きく倍率を落としました。そのため、例年よりやや落ち着いた入試となりました。

今年度より普通科から総合学科へと移行した小金高校は2.71倍となり、下馬評では高倍率となることが予想されていましたが、昨年度とほぼ同様の倍率となりました。

前期入試の難易度は科目ごとに見ていくとやや変動が予想されますが、5科目では昨年度とほぼ同程度の数値になると思われます。2月17日には前期入試の発表が行われましたが、受験生の自己採点結果の分析から、各高校の合格点はほぼ例年通りに落ち着いています。

来年度も前期・後期の2回での入試になることが教育委員会から発表になっています。過去問題をよく研究し、得点力を高めていくことが合格への近道となりそうです。

国語

平成28年度千葉県公立高校前期入試 国語

北村俊典 講師

問題の構成や大問ごとの配点に変化は見られない。難易度に関してもほぼ昨年並みと考えてよいだろう。

大問1は放送による聞き取り問題である。表現技法について出題されており、幅広い範囲の知識を身に付ける必要があることがわかる。

大問2と3については例年通りの漢字の読み書きが出題されている。前期入試では三字熟語、後期入試では四字熟語の出題がそれぞれ1問ずつあるのが定番であり、今回もそのような出題だった。配点は2点と決して大きくはないが、確実な得点源として無視できない。受験勉強が本格的スタートする前に漢字検定を活用して漢字力・語彙力を身に付けておくことが必要である。

大問4は知識に関する問題。文法の問題はここで出題されることが多いが、今年は書体、漢文の書き下し、文の構成、敬語の使い方が出題された。敬語は千葉県の公立入試に頻出の範囲であり、目新しい感はないが、楷書と行書における筆順の変化を問うた(1)は新傾向である。もともと書体に関する問題は西日本の府県において出題されることが多い。教育制度改革の中でより変化をつけた出題を試みているのが分かる。

大問5は説明的文章の出題で、例年通り。(2)の書き抜きの問題は文脈を読み取る問題であるが、「形容動詞を含む言葉」を「抜き出す」と、文法の知識を併せて問う出題になっている。(5)の記述は昨年より字数こそ減っているものの、難易度は決して低くない。傍線部Eの「楽しく採りに行くこと」と「グローバル化」が対立することを読み取り、「グローバル化」の「本質的な価値」を手に入れるためには「不調和に期待を裏切られる」ことが前提になることをつかまなければならない。そうしないと文章前半の解答の根拠となる部分が見つからない。また、最後の問題で「論の進め方」と「内容」について問う問題も定番化しており、説明的文章の問題を演習する際にも「段落の構成」などの単元に特に注意を払うことが重要となる。

大問7は物語文の出題で、例年通りである。記号問題も登場人物の心情とその理由を問うものや、内容を問うものである。記述問題は字数が減ったものの、問題数自体は2問に増えており、今後も記述問題が増加していくことが予想される。(4)において解答を「一語」で書くよう求める問題があり、昨年も「2文節」で書くことを求める問題が出た。このような部分で文法の知識を求められるケースもあり、ひとつひとつの文法単元を確実に身に付け、総合的な力を身に付けることが大切だ。

大問6は古文の出題。漢文の問題が大問4で聞かれたため、仮名遣いの問題が再び出ている。短い記述の問題もよく出題される。古文は多くの問題に触れることで、古文にありがちな「話のパターン」に慣れておくことが必要であり、説話系の古典作品から出題される場合は特にそうである。

大問8は作文が出題されており、字数設定や資料の読み取りを必要とする点も例年通りである。配点は12点と大きく、作文力は急につくものではない。書きなれておくというのが一番の対策になるだろう。

全体として単純に知識を問うというよりは、知識があるのを前提としてもう一段ひねった出題や、傾向に変化をつけてきている感がある。また、文章題も傍線部や空欄の周囲から内容を読み取ったうえで、文章全体の論旨をまとめたり、適当に刈り込んだ表現にまとめたりする問題が増えている。

特定の単元に偏ることなく、幅広い範囲をくまなく網羅することが求められている。

数学

前期の出題構成は、大問5題、設問数が22問であった。

宮越涼 講師

宮越涼 講師

大問1は例年通り基本的な計算問題。「数と式」、「方程式」から6問出題された。なお、「解の公式」を使った方程式は出題されていないものの、基本的な計算能力を問う傾向は変わっていない。

大問2は「球の体積」、「資料の整理」、「方程式の文章題」、「確率」、「作図」の5問構成。出題分野の傾向は例年通りといえる。確率では関数・図形との融合問題が今年度も出題された。さらに三平方の定理における整数比を関数の座標に当てはめるといった工夫が必要であった。作図においても、相似の知識を活用する必要があり、一つの単元にとらわれない知識を求められるようになっているのが大きな特徴であるといえる。

大問3は「関数」からの出題であった。今年度も出題頻度の高い放物線と1次関数の融合問題となっていた。(1)は座標から直線の式を求める基本問題、(2)①は座標を文字で表す、②は回転体の体積の問題だった。特に(2)②は斜めの立体をしっかり把握できるかが大きな分かれ目になったのではと思われる。

大問4は「図形の証明」からの出題であった。(1)の証明は例年通り前半は記号選択の穴埋め、後半は記述式であった。(2)は(1)の結果を用いて解答する例年通りの傾向も問題であったといえる。等積変形を有効活用できれば、正解に導くことができる問題だったため、図形の総合的な基礎知識が必要になっている。

大問5は「規則性」からの出題であった。(1)は表の続き正確に作成できれば必ず正解できる問題である。(2)では穴埋め形式となっていたが、電球の点灯パターンがそれぞれ倍数になっていること、逆に点灯しないパターンは素数を活用することが求められた。(3)においても、倍数・約数の知識が正解のカギであるといえた。

数学は、出題傾向が比較的一定する特徴がある。そのため、早い段階から頻出問題に取り組むと良いだろう。
その中でも、大問1で出てくる計算問題6題は、正確に早く解くことが最も重要。普段から計算練習を毎日10分ずつでよいので、必ずやっておくとよい。

最終的には、6題を3分以内で解くスピードがあると、その後の問題にじっくり取り組む時間を作ることができる。

大問2で分かれ目になるのは確率と作図といえる。いずれも図形の知識を必要とする傾向が強くなってきているので、図形の基礎知識や公式・定理をしっかり確認し、どんな場面でも使えるようにしておきたい。

大問3以降では、関数・証明・規則性が出題頻度の高い単元となっている。関数では、座標を文字で表す方法に慣れておきたいところである。証明では、円周角を用いた証明が多用されているので、円周角を使った問題を練習しておきたい。その際、単純に角度を求めるタイプの問題でも繰り返し解いていけば十分効果的である。規則性に関しては、過去問に多く触れておき、傾向をつかむと良い。

難易度は教科書レベルが基準なので、学習に使用する教材としては、教科書と過去問を中心にするとよい。特に1・2年の教科書も章末問題をくり返し行うと効果的である。また、過去問を使用するときは常に時間を意識し、限られた時間内で解く習慣をつけておくとよい。

社会

何が出題されたか

前期は例年通り大問8題で構成されていた。出題傾向も、他教科に比べ大きな変化はなく過去問題をしっかり解いてきた受験生にとっては得点しやすい科目となった。全国的に出題傾向の増加が目立つ「資料の読み取り」も4問出題されるなど。

1は千葉県の事柄と関連させた地理・歴史・公民の融合問題。今年度は千葉県の畜産業を取り上げての出題だった。今後も出題されることが予想されるため、千葉県の地理・農業・工業などの知識をしっかりと身に着けておきたい。

2は日本地理分野からの出題。日本の地方区分、工業、地形図の読み取りなどが出題された。1で千葉県の事項を扱っているため、2では関東地方以外からの出題が目立つ。各都道府県の特徴をしっかりとおさえておくと良い。地形図の読み取りは今年度も出題された。毎年出題されており、最も出題頻度が高いため、得点源とできるよう繰り返し演習しておくと良いだろう。

3は世界地理分野からの出題。時差をはじめ、世界の宗教、農業、貿易額などが問われた。時差はここ数年出題がなかったが、今年度再び取り上げられた。

4は歴史分野からの出題。飛鳥時代~江戸時代までが取り上げられた。文化史や世界の出来事がいつ起こったのか、を問う問題が多く、単語の知識だけを覚えていたのでは得点できない問題が多かった。また、幕末時代における日本と諸外国との貿易品目も問われた。明治時代以降の貿易品目との違いと併せて理解しておきたい。

5は歴史分野の近現代領域からの出題。日清戦争をはじめ、様々な戦争が取り上げられた。近代の戦争も毎年扱われる単元である。戦争前後の流れと併せて知識を身に着けておきたい。

6は公民分野からの出題。例年、三権分立の中から一つが出題される傾向が見られる。今年度は「国会」が取り上げられた。選挙のしくみや、地方自治のしくみなど、教科書に書いてある事項はしっかりと覚えておくようにしたい。

7は公民分野から「日本銀行」が取り上げられた。日本銀行が行う「金融政策」、政府が行う「財政政策」の違いをしっかりと理解しておくことが大切。また、一般の銀行や、家計の知識もしっかりと身に着けておくと良い。

8は公民分野から「国際社会と日本」が取り上げられた。国際連合で行われた「マララ」さんのスピーチを取り上げ、人権問題をテーマに出題された。国際社会も頻出分野であるため、しっかりと準備をしてきた受験生にはなじみ深い問題となった。

来年度以降も出題傾向が大きく変わらなければ大きな得点源として見込める科目であるため、時間をかけて取り組んでいくと良いだろう。

理科

富坂翼 講師

富坂翼 講師

前期入試の大問1は例年通り小問集合であった。問題内容も生物・地学・物理・化学の4 つの領域から各1 問ずつ出題された。

大問2は中2の生物分野である、呼吸のしくみに関する問題であった。呼吸のしくみペットボトルとゴム膜等を用いた装置を使って解いていく問題は、定期テストでも出題されている問題レベルであった。しかし、呼吸と関連した血液の成分や細胞の呼吸といった派生問題は、入試レベルであり、記述力が問われることとなった。

大問3は中2の物理分野である、オームの法則を用いた問題であった。電流計と電圧計のつなぎ方や直列回路と並列回路の違いなど、入試の基礎知識から出題されていた。並列回路における合成抵抗は、各抵抗より小さいという性質を用いれば、計算もさほどかからず解くことができた。

大問4は中1の化学分野である水溶液の溶解度に関する問題であった。ここでは、グラフで表している量が100gであることをしっかりと読み取ることで、問題に対応していくものであった。(3)の問題では、10%の水溶液が200gと書かれているので、グラフの2倍の量として求めると間違えてしまう。溶解度とは100gの水。つまり溶媒の量ととける溶質の関係性を表しているものである。よって、10%の水溶液200g中に含まれる溶媒(水)と溶質(物質B)の量をそれぞれ求めて、計算をしなくてはならなかった。

大問5は中1地学分野である地層の問題であった。多くの生徒が柱状図の読み取りに苦労したことだろう。地形の傾きを調べるためには、南北と東西でそれぞれ柱状図を比較し、等高線に注意しながら傾き方を求める、難易度の高めである問題だった。

大問6は中1の物理分野である浮力・水圧の問題であった。実験1で、水面に浮いているということは、浮力のほうが物体の空気中の重さより大きいということがわかる。力のつりあいの関係をしっかりと理解することで、(1)の問題を解くことが出来た。(2)では中3単元である仕事の計算が出題された。図4の状態からさらに引き下げるということで、移動する距離は10cmであるということと、計算ではmに変化させるといったしっかりと問題を確認することで、問題を解くことができた。(3)に関しては、それぞれの重力と浮力の力のつり合いの関係から値を求めていく難易度の高い問題であった。

大問7は中3の地学分野である天体の問題であった。ここでは、とくに(3)が難易度の高い問題であった。春分の日であることから、影は北極と南極を結ぶ線となり、地球が反時計まわりに自転することから、右半分が影となることを導く問題であった。昨年度も難易度の高い天体の問題が出題された。関係性をしっかりと理解をして、応用していく力をつけていく必要がある。

大問8は中3の生物分野である遺伝と生殖であった。難易度は高くはなく、無性生殖の種類である栄養生殖や分裂などの種類を理解しておく必要があった。

大問9は中3化学分野である水溶液とイオンの問題であった。問題ではイオンの数に関する問題や水素の発生方法など、基本的な問題からの出題となった。また、(4)は備長炭電

英語

問題の構成は、リスニングに始まり、語彙、文法、英作文、短文、長文問題と、例年通りであった。しかし、出題語彙はやや難易度が高く、英作文も電話への対応というやや書きづらい内容であった。日頃からの単語学習や、教科書の電話対応表現をしっかりと覚えているかなど、小手先ではない英語力が問われた。

1~3のリスニングは例年通りで、難易度にも変化は見られなかった。前期の聞き取りは総得点の2割を占めるため、確実に得点したい。”Sounds fun.”や”I hope not.”など、会話表現も理解している必要があるが、英検3級レベルのリスニング練習で対策が可能だ。

4はヒントをもとに英単語を答える問題。(3)”continue”(4)”communication”は単語が長く、スペルミスを誘いやすいが、いずれも教科書に登場している単語である。公立入試は教科書外の単語が出題されることはないため、後期に向けて索引ページでスペルを確認するのもよいだろう。

5(1)は”good”を比較級へ変化させる問題。比較級、最上級への書き換えは、特別な変化をするものも着実にマスターしている必要がある。(2)は一般動詞の変形のため三単現か過去形にすることは明白だが、直前に”doesn’t”が登場してことで勘違いをしてしまった学生も多いのではないだろうか。文脈から落ち着いて読み取りたい。(3)~(5)の並び替えは、関係代名詞、分詞の単元から出題されている。並び替えでは頻繁に狙われる単元のため、日頃よりSとVをはっきり見分けて文を作ることが効果的だ。

6は例年通り、対話形式の英作文だが、電話の応対表現が思い出せないと、書きたいことが思うようにかけず時間を取られた学生もいたのではないかと思われる。”call back later”「後でかけ直す」や、”Will you take a message?”「伝言を伝えてくれませんか」などの電話表現は、教科書のSpeaking単元でトピックとなっているはずなので、文法だけではなく、教科書の内容は隅々まで網羅している必要があったと言えるだろう。

7は短い文章読解で、内容読解の難易度は平年並みだと思われる。しかし(1)Bの選択肢に含まれる”brave”や”true”、(3)①では、”alone”を記述させるなど、日頃からの単語学習で差がつく問題が見られた。

8の長文読解は、ストーリーをしっかりと理解し、解答していければ問題はない。しかし、(2)の英問英答問題は、”Why~?の問いかけであったため、本文から理由となる箇所を見つけ、”Because SV.”の体裁に整える必要があり、本文をそのまま抜き出すことができないという点で正答率は低いと思われる。

9の対話形式の選択問題は、千葉県の公立入試においては前後期とも必須であり、問題の前後の流れをきちんと把握することがポイントとなる。問題を解くときに、常に解答の根拠となる箇所に線を引いていく習慣をつけることで、直実に得点できる力がついていくだろう。

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