令和2年度 埼玉県公立高校入試【総括】

令和2年度 埼玉県公立高校入試【総括】

国語 中村講師

「文章全体の要旨の把握が重要」

出題形式は例年どおりであったが、設問ごとの配点に変化が見られた。特に作文の配点が大きく変わり、昨年度まで16点満点だったものが今年度は12点満点となった。大問2の問4では、昨年度から対話形式の問題が出題されるようになっており、今年度は「手紙の書き方・形式」に関する問題となった。

大問1は小説の読解。図書館に本を寄贈しようという「七曲直(ななまがりすなお)」と、それを断った図書館職員の「河尻利香子(こうじりりかこ)」のお互いの考えや思いを、二人に共通する知人の「鈴川有季(すずかわゆうき)」と「森田麻友(もりたまゆ)」の思いを通してとらえる。

問1は、傍線①「有季は言葉に迷った」を説明したものを選ぶ問題。言葉に迷う理由を探すと、直後の「だから結局、」から次の段落の最後「役には立たない」までが見つかるので、それをもとに選ぶ。

問2は、傍線②に関する記述問題。「有季が考える七曲の心情」が問われているので、該当箇所を探す。傍線より後を追っていくと「有季は悟った。七曲は怒っているのではなく……裏切られたような気がしたに違いない。」という描写があるので、この部分を空欄前後の言葉と合うようにまとめればよい。

問3は、傍線③のときの「有季の考え」を説明したものを選ぶ。傍線③が「だから」で始まっているので、まずは直前の内容を押さえる。他に「本を捨てることに、すごく罪悪感があるって」という部分もあるので、それもふまえて選ぶ。

問4は、傍線④からわかる「有季」の心情を記述する。「口元がゆるんだ」は笑顔になることなので、喜びの気持ちを書けばよい。まずは傍線直後の内容が「嬉しかった」、「誇らしかった」となっていることを押さえる。その部分を活かしながら、「好きな本」・「誤解」の指定語句を使って、空欄に合うようにまとめる。

問5は、本文の表現について「適切でないもの」を選ぶ問題。アに「図書館の情景描写」とあるが、本文の場面は「図書館」ではなく、「七曲」の家である。

大問2は知識事項。漢字の読み書き、文節相互の関係、二字熟語の意味、「お礼の手紙」に関する話し合いの問題であった。漢字、文法、手紙の書き方など、日常的に日本語に対する関心を高めて対応したい。

大問3は論説文。日本語の「自然」の意味と「人類学」の新たな観点について、筆者の考えや主張を押さえながら読む。

問1は、傍線①「日本語の『自然』という言葉」の説明を選ぶ問題。傍線直後より、明治以前と明治以降での意味内容の変遷が述べられているので、本文と選択肢を丁寧に照合して選ぶ。

問2は、本文中の空欄を埋める選択肢の問題。空欄前に「こうした視点から」という指示語があり、空欄後に「ではなく」という否定語があるので、空欄の前から対比関係を探し、その内容をもとに答えをしぼる。

問3は、傍線②の理由を問う問題。設問内の「次の文」の空欄前後に「ユカギールの狩猟採集民は人間や動物が」、「と考えるから。」とあるので、似た内容を本文から探す。傍線②の前に「ユカギールの狩猟採集民の世界では、人、動物、モノは」~「もっているためだ」という理由を述べた部分があるので、ここをまとめる。

問4は、傍線③を具体的に説明したものとして「適切でないもの」を選ぶ問題。「都市生活」のなかの「自然」については、次の段落と最後の段落に具体例として述べられているので、それと合わないものを選ぶ。

問5は、「人類学」がどのような「あらたな視角」を与えてくれるのかを記述する問題。「普遍的」・「具体的」という指定語句があることも手がかりにする。従来の人類学については2段落目に記述があり、そこに「普遍的」の語も見つかる。新たな視角については傍線の直前も含めて「具体的」の語とともにまとめる。

大問4は古文の読解。歴史的仮名遣い、理由を述べる空欄補充、主語、内容理解について問われた。読む際は主語を意識し、口語訳や注も参考に内容を理解したい。

大問5は作文。「埼玉県の魅力」についての調査資料をもとに、自分の考えや体験を書くものであった。昨年度までと比べて配点と行数が減り、「二段落構成」などの条件がつくものとなっていた。

近年、記述問題において、部分的な内容を問うものとともに、全体の要旨の理解が試されるものも出題されるようになっている。日頃からさまざまな分野の文章に触れて、理解力や要約力を高めていきたい。

数学(学力検査問題) 湯浅講師

大問1が高得点のカギ!


大問数には変化はなかったが、大問1の設問数が4問増えた結果、配点も14点増えた。

【大問1】 計算問題・小問 16問

基本的な計算問題。素早く正確に処理し確実に得点したいところ。 (12)は学校選択問題との共通問題であるがグラフがかかれており(学校選択問題ではかかれていない)これを参考すれば分かりやすかったであろう。
(13)は学校選択問題と題材は同じであるが設問内容が異なる。(14)の「確率」は樹形図や表などを活用し正確に数えることがポイントである。(16)の「標本調査」は昨年度に続いての出題であるが、標本の選び方として最も適切な理由を答える問題で、やや難易度が高い。

【大問2】 作図・証明 2問

(1)は垂線の作図であり「基本の作図」のうちの1つである。

(2)は平行四辺形の性質を用いて直角三角形の合同を証明する問題である。昨年度も平行四辺形を題材にした証明が出題されており、「平行四辺形の性質」や「平行四辺形になるための条件」などをしっかり押さえておく必要がある。

【大問3】相似の応用 2問

(1)はAさんとBさんの会話をヒントに直角三角形の相似を利用する基本的な問題である。

(2)は△A’B’PがA’B’= B’Pの二等辺三角形になることに気付き3つの角が30°,60°,90°の特別な直角三角形の辺の比を用いて長さを求める。答えを出す時に「目の高さ」を加えることを忘れないこと。

【大問4】2次関数 3問

(2)①は指定された文言に続き説明を書いて解く形式であった。座標を文字でおいて解く問題は頻出問題であるが練習を充分に積んでいないと難しく感じたであろう。

②は、まず「底辺が共通である三角形の面積比は高さの比と等しくなる」ということに気付けたかがポイント。求める座標が複数あり、すべて求めなければならず難易度が高い。

大問1の配点が65点と高いため、ここで確実に得点することが高得点獲得のカギとなる。日頃から計算問題の練習を積み、「速く」「正確」にできるようにすることが重要である。

数学(学校選択問題) 湯浅講師

時間配分がポイント!


大問数、設問数とも大きな変化はなく、作図問題を含む記述力を問う問題も32点でほぼ昨年度と同じであった。また学力検査問題と題材は同じであるが出題の内容が異なる問題もあった。

【大問1】計算問題・小問 9問

やや複雑な計算問題。(5)の「確率」はさいころを2個投げる問題であるが求める確率の条件がやや複雑なため図や表を用いて落ち着いて数えることができたかどうか。 (9)は学力検査問題と共通問題。

【大問2】作図・証明 2問

(1)の作図はPOを直径とする円を描き、直径に対する円周角が90°になることを利用する。(2)は平行四辺形の性質を用いて直角三角形の合同を証明し、それを利用して四角形が平行四辺形であることを証明する問題である。「平行四辺形の性質」「平行四辺形になるための条件」などをしっかり押さえておく必要がある。

【大問3】相似の応用 2問

題材は学力検査と同じであるが、与えられた条件に違いがあった。
(1)はAさんとBさんの会話をヒントに直角三角形の相似を利用する基本的な問題である。
(2)は学力検査問題ではあった図が示されていないため、自分で条件にあった図を描かなければならず、戸惑った生徒がいたと思われる。

【大問4】2次関数 3問

(2)①は説明を書いて求める問題で、座標を文字でおくことができたかがポイント。頻出問題であるが練習を充分に積んでいないと難しく感じたであろう。
②はまず「底辺が共通である三角形の面積比は高さの比になる」ということに気付けたかどうかがポイント。
求める座標が複数あり、すべて求めなければならず難易度が高い。

【大問5】空間図形 3問

昨年度に引き続き空間図形からの出題であった。
(1) (2)は基本的な問題なので確実に得点したい。正四角錐の高さは三平方の定理を用いて求める。
また辺を延長して交わる場合は「ねじれの位置にある」とは言わないので注意する。
(3)は難問。途中の説明を書いて求める問題であるが、立体の問題では必要な平面を抜き出して「平面図形の問題」として処理するのがポイント。さらに「線分の長さの比」から「相似な図形」へと結びつけられたかどうかがカギ。相似な図形を見つけて解き進めるのであるが相似な図形がなかったら、自分で作り出すことが必要である。

時間配分に注意し、【大問1】【大問2】を素早く処理して、後半の問題にいかに時間がかけられたのかが
ポイントであろう。

社会 古内講師

難化した問題が多い出題内容


古内講師

出題傾向に大きな変更はなかったが、難度が高い問題が例年以上に多く出題されていたのが今年度の特徴ともいえる。問題の出題形式は、例年通り通りだったので、過去問題をしっかり演習しておけばある程度は対応できていた。

大問1の世界地理では、問5の資料を読み取る問題が難化していた。選択肢の割合は計算が必要であり、「貿易赤字=輸入額が輸出額を上回る」など事前に練習が必要である。
大問2の日本地理は例年通りの難易度だった。

大問3の江戸時代までの歴史では、初めて弥生時代が出題されたが、問題は平易だった。記述に関しては、「大名とはどのような武士なのか」が問われ、難度が高かった。

大問4の明治以降の歴史では、例年通りの出題であった。特に問1の「古い順に並び変える問題」は、難度は高いが、この2年間明治時代からの出題だったので、対策をしていれば対応ができた。問4の「1941年~1951年の日本の社会や経済の様子を選ぶ問題」は、戦後改革の内容のなかでも、「民法の改正」が問われた。かなり難易度が高く、細かな内容まで把握できているかがポイントとなった。

大問5の公民では政治分野・経済分野が幅広く出題される例年通りの形式だった。政治分野では、問2の「日本の裁判に関して述べた文として正しいものをすべて選ぶ問題」は裁判に関して細かく理解が問われていたので難度が高かった。記述に関しては、「比例代表制のしくみを『得票数』と『議席数』の語句を用いて説明する」問題であったが、定期テストレベルの難易度だったので受験生は解答しやすかった。しかし経済分野の「日本銀行が『銀行の銀行とよばれる役割』」が問われる記述は、「銀行の銀行」は知っていても、説明することの難度はかなり高かった。また問8の地球環境問題の取り組みを問う問題では、「京都議定書」は解答できても「パリ協定」が解答できなかった受験生が多かった。

大問6の総合問題は例年通りの出題であった。

理科 市川講師

実験から考察する力が重要


昨年度からの変更点

①先生と生徒の会話やレポートで問題が進行

今年度は、一部に形式の変更が見られた。今年度は、先生と生徒の会話によって授業を展開し、その内容について問われる問題があった。吹き出しに先生と生徒との会話あり、受験生には読みやすい文章だった。

②計算の過程を書く問題がなくなり、実験考察を記述する問題が増加

実験結果からその理由を記述する問題が増加した。図表を読み取る力や、そこから自分の考えを「文章にして」「わかりやすく説明できる」力が必要である。今後、大学受験や社会に出た時に、重要視される力である。文章を記述する問題が6題(24点分)出題あり、無視できない。

大問1

一問一答形式。様々な単元から8問出題されている。問1は、堆積岩に関する問題。チャートと石灰岩の固さの違いが問われた。チャートは火打石に用いられるくらい固く、石灰岩はチョークの材料となるくらいやわらかい。

大問2

【雲のでき方】問5は、図から、空気の膨張を考えた方が考えない方より空気1㎥中の水蒸気量が少なくなることが読み取れる。先生の話から水蒸気量が減ると露点が下がるので、雲ができ始める高さが高くなることがわかる。

大問3

【植物】植物全般について問われた。一つひとつは教科書に載っている基本的な実験だったが、量が多いので、すべて解答するには時間がかかったと思われる。

大問4

【中和】問3は、①水溶液X3とY3を比較し、②生じた塩の性質にふれ、③イオンという語を用いて④電流が流れなかった理由を説明する問題。①~④をしっかり入れて説明できるように普段から練習しておきたい。

大問5

【音・電流のはたらき】理科で学習したことが、身近なものや、日常生活に関連していることがわかる。問2の振動数の計算では、音の波形から0.02sで3回振動していることがわかれば解ける。

大問1の小問8つと大問2~5の単元を合わせると、中学3年間で学習したほぼすべての単元が出題されている。どこかに絞って学習するのではなく、教科書を隅々まで学習しているかが問われている。

英語(学力検査問題) 新明講師

速く読む力と正しい記述力が鍵


問題量や難易度は昨年に比べ大問ごとの変化が目立った。形式も変わり難易度の上がった大問4、5に対応できたかが鍵となる。記述形式に変化があり、正しく「書く」ことが高得点のポイント。

大問1のリスニング問題は大きな変化はなく問題の指示はすべて英語で行われている。学校選択問題との違いは指示内容の英文記述の有無のみ。英語で解答するNo.6がNo.7へと順番が変わったが、問題はやや易しくなっている。28点を占めるリスニング問題で確実に得点することが全体の高得点につながる。

大問2は空所補充問題で、月の名前や曜日などの基本的な語を記述させた。rainsを答える問題はやや難しい。rainとrainyの品詞の使い分けと中1で習う文法事項「3単現のs」が問われた。

大問3の文章題は単語数約230語と昨年より大幅に減った。日本語記述の問題がなくなり整序問題に変更されている。第4文型、不定詞、動名詞、比較級と中2で学習する内容の出題がメインなので確実に得点したい。

大問4は【学校選択問題の大問2】と同内容の「子育て支援センターでのボランティア活動についての会話文とe-mail」の文章題。4つの短い文章の後に設問、加えて全体からの出題という形式で語数も約610語と例年どおりだが、注釈が多いので読みにくい。昨年までのグラフを選ぶ問題から、英文を読んで地図上の目的地を選択する問題に変更。問7は「ボランティアをするとしたら何をするか」を記述する新傾向の問題。本文から選ぶ問題ではなく「考えて書く力」が求められた。

大問5は出題形式が大幅に変更された。大問3とほぼ同等の英文を読み、2つの設問+英作文になった。形式は変わったが、英作文の条件がこれまでの「5文以上」から「3文以上」となり、テーマも外国人のPeterに「日本を訪れるならどの季節がよいか」を紹介するという内容で書きやすくなったと言える。

英語(学校選択問題) 新明講師

速く読む力と正しい記述力が鍵


難易度は昨年と大きく変化していないが、記述式の解答のしかたに若干の変化があった。また全体的に語彙量が多いため、時間配分、速く読む力が高得点を取るポイントとなった。問題数はほぼ例年通り。

大問1のリスニング問題に大きな変化はない。問題の指示はすべて英語で行われている。英語で解答するNo.6がNo.7へと順番が変わったが、設問はやや易しくなっている。28点を占めるリスニング問題で確実に得点することが全体の高得点につながる。

大問2は【学力検査問題の大問4】と同内容の「子育て支援センターでのボランティア活動についての会話文とe-mail」の文章題。4つの短い文章の後に設問、加えて全体からの出題という形式はほぼ昨年通り。語彙数も約610語と例年どおり。問2の道案内は中2で扱う内容だが、ここ数年は出題されておらず、教科書でしか学習しない単元のうえ「2文以上」で記述のため難易度は高い。問5は私立入試対策でnothingやno ~などの否定語を主語とする比較表現のパターンを練習していた生徒は対応できた。

大問3は例年「環境」問題がテーマで、「伝統工芸品に使われる漆」に関する長文。語数は約650語と昨年の730語よりやや少なくなった。問1は昨年と同形式の適文挿入が3問(各3点)あり、配点が9点と大きい。前後の文のつながりを時間内で正確に読めるかがポイントになる。問2の英問英答は「疑問詞が主語」となっているので答え方に注意。昨年まで難易度の高かった問6「2語の空所補充」は、現在完了、受動態、関係代名詞と受験頻出の文法事項のため解答しやすくなった。

大問4の英作文は、「環境問題」について文章を読み英語で書く形式になり、条件の英文が例年の倍以上になっている。しかし「環境問題」は英検の英作文でも頻出のテーマのため、英検準2級や2級の学習をしていた生徒にとっては有利だった。

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