2017年度 埼玉県公立高校入試問題の分析
2017年度 埼玉県公立高校入試問題の分析

2017年度の県公立高校入試の出題方針は

  1. 1.中学校における平素の学習を重んじ、中学校学習指導要領に基づいて出題する。
  2. 2.基礎的な知識及び技能をみる問題とともに、思考力、判断力、表現力等の能力をみる問題の出題に配慮する。
  3. 3.各教科の目標に照らして、受検者の学力を十分に把握できるように、出題の内容及び出題数に配慮するとともに、記述による解答を求めるよう配慮する。

各教科100点。5教科の大問数は計25問(学校選択問題は24問)、小問数は計143問(同計141問)。県教育局による5教科の予想平均点の合計は256点(同285点)で前年より7点減。教科ごとの予想平均点数は次の通り。

国語55点・数学48点(同60点)・社会55点・理科50点・英語48点(同65点)

国語

出題方針

国語の基礎的・基本的な内容について、できるだけ広範囲にわたって出題し国語を適切に表現し、正確に理解する力を見るよう努めた。大問1は場面展開や登場人物の描写に注意して読み、内容を的確に捉える力などを求めた。

大問2は基本的な漢字の読み書きや文法力などを調査。大問3は文章の論理展開や表現の仕方を捉え、内容を正確に理解する力などを求めた。大問4は古典に対する理解力、大問5は目的に応じて適切に文章を書く力を見ようとした。

文章の本質的理解の訓練を

杉山講師

埼英スクール 吉川美南校 杉山純一 講師

大問数や出題形式は例年どおりであった。

大問1は小説の読解。「唯奈」の心情の変化と「私」(知咲)の心のわだかまりを捉えながら読む。問1は、傍線①前後の「私は何をしたいんだろう」、「自分が発表するならここを読みたい」という表現や「唯奈」の問いかけに対する「私」の対応に注目。問2は、傍線②の後で「優しい」と言われることへの「私」の心境が述べられているので、その本文を用いて空欄前後に合うようにまとめる。問3は、比喩の問題。「まるで」、「ようだ」、「みたいだ」などの表現を探すとよい。問4は、「唯奈」の変化を捉えて記述する問題。指定語句も手がかりにして、利用できる本文を探す。問5は、傍線⑤の直前の「うん、まだ。」や傍線内の「足を踏み出せなかった」という描写をもとに選ぶ。

大問2は漢字、品詞、熟語、文節、慣用句・四字熟語の問題。漢検の学習を取り入れるのも良い。

大問3は論説文の読解。絵画や文学などの価値がどう生み出されるかを、引用文や具体例を参考にして読み解く。問1は、空欄直前の一文がヒント。問2は、傍線①の具体例を探す問題。ここでは「たとえば」という語が決め手。問3は、絵画作品と文学作品の価格決定について、空欄前後の語をヒントにして条件に合う内容を答える。問4は、「芸術作品の価値」の決まり方を、指定語句を含む部分から探して記述する。問5は、「適切でないもの」を選ぶことに注意。

大問4は古文の読解。注を参考に主語を捉えながら読む。漢文との対応も出題された。

大問5は作文。「メディアの利用」について、資料の項目をもとに体験を交えて書く。

読解では比喩や具体例がどの内容の説明なのかを常に意識すること。論説文の読解法については、テレ玉「公立高校入試の傾向と対策」(テレビ講座)サイエイの内容を参照>>

数学

出題方針

基礎的な知識や機能が身についているかを見るため、大問1では文字式の計算や因数分解、連立方程式の解き方、等式の変形、関数問題、図形の特性を利用した問題などを出題。

大問2は正四角柱の高さを求めることができるかの問題を通して、数学的な見方や考え方を活用できるかを見ようとした。

大問3は観察や操作、実験を通して推論の理解と論理的に表現する力を調査。大問4では図形や関数について総合的に考察することができるかを見ようと努めた。

取り組み易い問題増

小泉講師

埼英スクール 越谷レイクタウン校 小泉健一 講師

問題数は、大問が4題、小問が22題で昨年と比較すると小問数が2題増えた。ここ数年、連続して出題されていた「紙を折る」がなくなり、問題の構成に大きな変化があった。

大問1は、中学校で学習する単元の基礎的な問題が中心で、12題の小問からなる。(10)は関数y=ax2の変域であるが、まずaの値が0以下の数になることに気づけば選択肢が3つに絞れる。(12)は平行四辺形の中にできる相似な図形を発見し、平行線と線分の比を用いて解けばよい。

大問2は作図、資料の活用、図形の面積、方程式の利用(図形)の4題からなる。(3)は円の接線の性質、三平方の定理、おうぎ形の面積などさまざまな知識を活用して解く。(4)の立体の展開図は、今までにあまりみない形の展開図で、戸惑った受験生も多かったはずである。

大問3(1)の合同の証明問題は、教科書の内容を理解していれば容易に解答できたであろう。(2)の②は難問。文字式で数を表すことができないため、言葉だけで説明しなければならず、練習を十分に積んでいないと最後まで書くことは難しい。

大問4は放物線と直線からなるグラフの問題であった。(1)は基本的な問題でOCを底辺とし、Bのx座標を高さとして解けばよい。(2)は2点A、Bの座標をaを用いて表し直線ℓの傾きを利用して求めればよいが、文字を扱うことに慣れていない受験生は難しく感じたかもしれない。(3)は難問。相似な三角形に着目し、面積比を利用して解くかP、D、Eの座標を文字を用いて表し、その文字を用いて△BDEの面積を表す。また△OABとの面積比の関係から△BDEの面積を求める。そして文字で表した△BDEの面積と実際の面積から方程式を立てて解く。その際、点Pのx座標が0以上4以下であることに注意する。

学力検査問題が改善されて初めての入試だったため、過去問を中心に対策を行ってきた受験生にとっては時間配分などの調整に困った面があったであろう。内容的には基礎的な問題から思考力、表現力を試す問題まで幅広く出題されている。日頃の学習では、答えを求めるだけではなく、求め方を正しく記述・説明する習慣をつけておきたい。

数学(学校選択問題)

出題方針

大問1は数学的な知識や技能が身についているかを調査。数と式に関する問題では観察や操作、実験を通して推論の理解と論理的に表現する力を求めた。

大問2は図形と資料の活用に関する問題で、正四角柱の展開図から底面や高さに当たる部分を適切に見いだしているかを調査。

大問3では空間図形の観察、実験などを通し図形について見通しを持って考察、表現力調べた。大問4はグラフや座標から図形、関数について総合的に考察する力あるかを見た。

論理的思考力を問う問題増

白川 佑太

埼英スクール ふじみ野東口校 白川佑太 講師

問題数は大問が4題、小問が20題で問題の数自体は昨年の出題数と同じであった。

大問1は例年に比べて構成が大きく変わった。平易な計算問題は無く、(1)の分数の計算や、(2)の平方根を含む多項式の代入、(3)のA=B=Cの連立方程式などは、近年の過去問題にはみられなかった問題である。(8)②は難問。「差が2である2つの素数」が2の倍数かつ3の倍数であることから6の倍数であることを説明する問題。練習を十分に積んでいないと書き終えることは難しかった。

大問2は学力検査問題と共通の問題。

大問3は立体をテーマとした問題であった。(1)と(2)は指定された図形を空間図形としてではなく、平面図形としてとらえることができるかが、解く鍵となる。空間図形を平面図形として捉える解法は典型的な手法なので、しっかりと身につけておけば、この種の問題に対応することができる。加えて、おおよその形でよいので、空間図形から抜き出した平面図形を描く練習もしておきたい。(3)は体積を求める問題だが、底面と高さを正しく設定することで解くことができる。

大問4は放物線と直線からなるグラフの問題であった。(1)と(2)①は学力検査問題と共通であった。(2)②は関数のグラフと図形の融合問題、さらに平面図形を空間図形としてとらえ直すという問題である。各座標を求める際に図形の知識を利用して解く。

全体的に平易な問題が少なく正解するためには確かな数学力が必要だった。問題が難しいからこそ、教科書で学ぶ知識の定着、そしてそれらを活用する応用問題を数多く解くことが重要である。解き終わったら解答の確認だけでなく、解説から問題を解く上で必要な知識とその使い方、その手順を理解する中で論理的思考力をつけていきたい。

社会

出題方針

地理・歴史・公民相互の関連を図り、基礎的な知識や技能とともに思考力や判断力、表現力などを見る問題を出題した。大問1は日本や外国について調べる学習場面を想定。大問2は農業から見た日本の地域的特色などについて出題。大問3は奈良時代の人々の負担や摂関政治、鎌倉時代の文化などを問うた。大問4は明治期の社会や経済、第1次世界大戦など。大問5は高齢化社会と財政、地域主権などをテーマとした。大問6は参政権や選挙の課題について問うた。

文章記述問題36点に増加。文章作成術がポイント

平澤講師

サイエイDuo 戸田下前校 平澤英樹 講師

試験時間が10分長くなったが、全体的に大きな変化は見られず、設問の構成も問題数も例年通りだった。しかし部分的な変更点が2点見られた。まず「すべて選びなさい」という設問が、昨年の2問から4問に増えた点。次に、文章記述問題が6問から8問へ増えた点である。これらの変更点から考えると、時間が10分延長されたものの、時間に余裕のない受験生も多数いたのではないだろうか。

地理分野では、配点には大きな変化はなく、世界地理では、大問1の問5で人口と年齢別人口割合に関する問題が出題されたが、「すべて選ぶ」といった設問のため、一つ一つの選択肢の読み取りや計算に時間を取られた受験生が多かったと思われる。知識だけではない思考力を問われた。日本地理では表やグラフから読みとる比較的平易な問題が出題された。

歴史分野では配点に大きな変化はなかったが、過去問題との類似点がいくつか見られた。大問3の問2の藤原氏に関する設問は、2009年度に出題された平清盛に関する設問、問3の文化に関する設問は2011年度の過去問題との類似点が見られた。しっかり過去問題を解きこなしていた生徒には非常に有利だったと思われる。写真、歴史地図などは、教科書や資料集でもよく見るものが出題されるので、必ず時代別や地域別に分類する方法が有効である。

公民分野では大問5の問3の「衆議院の優越」に関する文章記述で「任期」「解散」「国民」の指定語句3語の中で「国民」の語句にとまどった受験生もいたのではないだろうか。教科書を丁寧に読み、語句や制度の説明がしっかりとできるような学習が必要である。

総合問題では、昨年に引き続き世相を反映する問題が多数出題されていた。「ユネスコの世界遺産」、「18歳からの選挙権」、「一票の格差」など日頃からニュースに触れていた生徒には聞き覚えのある内容であった。

全分野、教科書から広く出題される傾向があるため、語句の暗記にとどまらず、「なぜ」の質問に対し理由が記述できるようにしておこう。

理科

出題方針

基礎的知識や技能を見る問題とともに自然を調べ探究する態度を重視し、観察や実験に関する出題に努めた。

大問1は季節に特徴的な気圧配置が形成されることへの理解力などを調べた。

大問2は過去に起こった地震の記録を調べる活動を通し、揺れの伝わり方や規則性について理解しているか見た。大問3は血流の観察を通して循環系のつくりと働きに対する理解力、大問4は分解における物質の変化、大問5は実験を通してエネルギーの基礎について問うた。

実験や図から読みとる力をつける

地下講師

埼英スクール 北戸田校 地下豊 講師

昨年度同様に大問は全部で5題であった。学習指導要領に示された思考力、判断力、表現力をみる問題に対して、受験生がしっかり考えて解答する時間を確保するため、テスト時間が10分延長された。そのため、各大問に理由や考えの過程、表や図から読み取れることなどを記述する問題が出題されている。記述ができないと高得点は取れなくなっている。

大問1は小問が8題で、問題はすべて一問一答だった。4つの雲画像から冬のものを選ぶ、植物の葉の絵から根の形を判断する、ロウの浮き沈みの図を見て、密度の大きさを判断するなど、図を見て判断する問題が目立った。

大問2は地震に関する問題。表からS波が到達する時刻を求める問題は、考え方の過程も記述する必要があった。また、緊急地震速報の仕組みについて問われる箇所もあり、身近な題材をからめた問題である。普段から教科書だけでなく身近なことに興味を持って学習することが必要である。

大問3はメダカやヒトの血液循環の問題。心臓の絵を見ながら、血液が押し出されるようすを表す図を選ぶ問題があった。これは弁が血液の逆流を防ぐためのもので、それが心臓においてどのような状態になっているかを問われた。知識だけではなく図でも理解をしておく必要がある。

大問4は炭酸水素ナトリウムの分解の問題。問6は、溶解度との融合問題。炭酸水素ナトリウムの溶解度の表から、実際に化学変化で残った物質を水に溶かすとどれだけ溶け残るかを計算する問題。溶解度は中1、化学変化は中2で学習する単元であり、それを融合させた問題だった。それぞれの分野の学習をしっかりしておけば慌てることなくできた。

大問5は斜面を転がる物体の運動に関する問題。問2は、力学的エネルギーは保存されるので、斜面の傾きが違っても、最初の位置エネルギーが同じであれば、それが0になったときの運動エネルギーも同じであることを、実験を通してしっかりと理解しているかが問われた。

大問1~5の中に、中学3年間で学習する単元がほとんど出題されている。教科書の内容理解だけでなく、それらが実験でどのように確認できるのかを理解しておくことが求められている。そして、図や表からなぜそうなっているのかを読み取る練習をする必要がある。さらに、日頃から文章による説明ができるように練習をしておくとよい。

英語

出題方針

基礎的な知識や英語の聞き取りなどを通して、できるだけ広範囲にわたって出題するよう努めた。

大問1は日常的な英会話を聞いて概要を聞きとる力を調査。

大問2は身近な場面に関する英文を完成させ、基本的な語や文法事項が定着しているかを見た。

大問3は英文を読んで大切な部分の読解力などを求めた。

大問4は会話文を通し場面に応じて英語で適切に表現できるか、大問5は与えられた条件に従い、まとまった内容を英語で適切に表現できるかを見た。

単語・述語・構文の総合理解がカギ

馬場講師

サイエイDuo 北本校 馬場裕 講師

大問2は語彙力を問う新傾向の問題であった。

大問数と日本語の問いに日本語で答える問題・英語の問いに英語で答える問題などの設問形式は、例年とほぼ同様だった。

大問1はリスニング問題。スピードがやや速いので、全体的な内容を把握することと会話で使用される表現を普段から押さえておくことが大切。問4・5は選択肢の英文の意味を理解できたかがポイント。

大問2は、お花見に誘う案内を日本語をもとに英語で作成する単語補充問題。月・曜日・季節・数字など基本的な単語を正しく書けるように練習しておけば十分対応できた。

大問3は担任の先生にアルバムを作ってあげようと取り組んだ文章。問4の so ~that +主語+動詞の構文を設問にしたのは初めて。問6の、英文の内容についての日本語の質問に日本語で答える問題は do one’s bestを知っていたかがカギ。

大問4は英語のスピーチに関する3人の会話文。in front of、come trueなどの熟語の知識に加え、約630語で構成される長い英文を時間内に読み、設問を処理できたかがポイント。問8の英語の問答を完成させる問題は、疑問詞を用いた疑問文を過去形で作れるかという基本的な文法問題。

大問5の条件英作文は「時間があるときに、家にいるのと外出するのではどちらが好きか」という〔質問〕に対し、〔条件〕に従って自分の考えを述べる問題で昨年度と同様の形式。過去問題を活用して準備をしていれば対応できた。

全体として、単語・熟語が書けるかを問う問題や疑問詞の受け答えの出題で、基礎・基本文法と例文暗唱を繰り返し練習しておく必要がある。また文章題を解く際は、本文を読解する前に設問に目を通しておくと英文の内容理解が速くなり、設問の答えを見つけやすくなる。

英語(学校選択問題)

出題方針

大問1では日常的な英会話を聞き、適切な表現力やまとまった長さの会話、スピーチの聞き取り力を見ようと出題した。大問2は英会話文を読んで、粗筋や大切な部分を読み取る力や場面に応じ、英語で適切に表現できるかを調べた。

大問3は英文の流れに合わせ、空欄を補う語として適切なものを問う問題や代名詞が指す内容を本文中から探し答えさせる問題などを出題した。大問4は条件に従い、まとまった内容を英語で適切に表現できるかを見ようとした。

単語・述語・文法・構文の総合理解がカギ

埼英スクール与野校 野間一也 講師

大問数が4つになり、単語・熟語に加え構文の知識と理解までを問う難易度の高い設問が増えた。日本語の問いに日本語で答える問題、英語の問いに英語で答える問題などの設問形式は例年の学力検査問題と同様であった。

大問1は【学力検査問題】と同一のリスニング問題。スピードがやや速いので、全体的な内容を把握することと会話で使用される表現を普段から押さえておくことが大切。問4・5は選択肢の英文の意味を理解できたかがポイント。

大問2は【学力検査問題の大問4】と同一で英語のスピーチに関する3人の会話文。in front of、come trueなどの熟語の知識に加え、約630語で構成される長い英文を時間内に読み、設問を処理できたかがポイント。問8の出題のみが【学力検査問題】と異なり、関係代名詞を用いて本文の内容に合うよう作文させる高難度の問題。

大問3は「光害」に関する高校生のスピーチ。社会性の強いテーマで、かつ約730語という非常に長い文章だった。問1Bのmake・・・afraid of ~、問2の間接疑問文の中で it・・・to ~構文を進行形で it is becoming・・・to ~とさせる問題は、特に文法理解を強く求められた。さらに問3の、指示語と省略のある文からitの指すものを5語で答える問題は新しい出題で英文の構造理解を求める問題。いずれも難易度が高く高得点を狙うにはカギとなった。

大問4は、「若いうちに海外で勉強すべき」という意味の英文に対し〔条件〕に従って自分の意見を英作文させる問題。〔条件〕がこれまでの〔5文〕から〔40語以上50語程度〕に変更された。文の数に指定がないので例年通りの準備ができている受験生にとっては決して難しくなかった。

全体としては、単語・熟語の知識を問う基本問題から、正確な文法と英文の構造理解を必要とする発展応用的な出題まで幅広い。文章題を解く際は、本文を読解する前に設問に目を通しておくと英文の内容理解が速くなり、設問の答えを見つけやすくなる。英作文は、2017年度から英検3級・準2級でも導入されるライティング問題を練習しておくとよい。

入試問題の分析 アーカイヴ

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