2018年度 入試報告

2018年度 入試報告

2018年度 入試報告

2018年度埼玉県公立高校入試においては、人文科学系の抽象的な問題が出題される(国語)、単純な知識よりも知識の活用が求められる(社会)、旬の話題「AI」について作文させる(英語・学校選択)など、より一層思考力や判断力が求められる問題が多数出題されました。

また、受験生の動向としては県内公立高校の志願者の減少と、私立高校の志願者の増加がみられました。

2017年度入試から実施の変更点

埼玉県教育委員会の掲げる目的「受験生一人一人の基礎的な知識、及び技能、思考力、判断力等の学力を、より一層厳正に測るため」に基づき、以下の2点が変更されています。

学力検査時間の統一

社会・理科の検査時間が「40分」から「50分」に変更され、全科目50分での実施に統一されました。

学力検査問題の改善

数学・英語の問題が比較的平易な「学力検査問題」と学校判断で一部に応用的内容を含む「学校選択問題」に分けて実施されています。

学校選択問題を実施する高校

浦和、浦和第一女子、浦和西、大宮、春日部、川口北、川越、川越女子、川越南、熊谷、熊谷女子、熊谷西、越ヶ谷、越谷北、所沢、所沢北、不動岡、和光国際、蕨、市立浦和

公立高校の再編・統合と募集停止

① 川口市立高校

川口市立の3校(川口総合・市立川口・県陽)を1校に再編・統合し、平成30年度入試より募集を開始しました。

  • 理数科(1クラス40名)…倍率2.28倍
  • 普通科(11クラス440名)…倍率1.58倍
  • 文理スポーツコース(普通科11クラスのうち、3クラス(120名)を文理スポーツコースとして募集)…倍率2.16倍

※普通科と理数科の間で相互に第2志望としての出願が可能。

② 大宮西高校

平成29年度入試を最後に募集を停止し、平成31年4月に中等教育学校化され、「さいたま市立大宮国際中等教育学校」として開校する予定です。

  • 6年間の一貫教育
  • 160名(男80名、女80名)を募集

受験者数の動向

今回の入試における受験者数の動向からは県内公立高校志願者の減少と、私立高校志願者の増加が読み取れます。

進路希望状況
区分 人数 構成比 昨年比人数
中学校卒業予定者数 64,995人 100% -1,137人
高等学校進学希望者
+希望校未定者
64,443人 99.2% -1,175人
国立高校希望者 205人 0.3% 29人
公立高校希望者 45,579人 70.1% -1,973人
私立高校希望者 10,330人 15.9% 211人
県外合計 4,316人 6.6% 304人

※埼玉県教育局「2017年12月15日現在の進路希望状況」より一部抜粋

傾向 その① 県内公立高校志願者・志願者割合が減少

過去4年間の「公立」高校希望者数と中学校卒業生数に対する割合の推移(1)
2014年度 2015年度
希望者数 前年比 希望者数 前年比
47,401人 -225人 47,763人 +362人
71.8% △0.2P 72.4% 0.6P
過去4年間の「公立」高校希望者数と中学校卒業生数に対する割合の推移(2)
2016年度 2017年度
希望者数 前年比 希望者数 前年比
47,552人 -211人 45,579人 -1,973人
71.9% △0.5P 70.1% △1.8P

傾向 その② 県内私立高校志願者・志願者割合が増加

過去4年間の「県内私立」高校希望者数と中学校卒業生数に対する割合の推移(1)
2014年度 2015年度
希望者数 前年比 希望者数 前年比
10,122人 +142人 9,874人 -248人
15.3% 0.2P 15.0% △0.3P
過去4年間の「県内私立」高校希望者数と中学校卒業生数に対する割合の推移(2)
2016年度 2017年度
希望者数 前年比 希望者数 前年比
10,119人 245人 10,330人 211人
15.3% 0.3P 15.9% 0.6P

私立志願者増加の要因

私立志願者増加の要因としては、今回の受験生が大学入試改革の当事者となることに加え、学費助成制度の改定が追い風になったことが考えられます。これらの影響で、埼玉県以外の都県も含めた私立高校に視線を向けた受験生が多かったのだと考えられます。

大学入試センター試験の廃止⇒大学入学共通テストの実施

実施年度
大学入試センター試験
2019年度(2020年1月)まで
大学入学共通テスト
2020年度(2021年1月)より
出題方式
大学入試センター試験
マークシート方式
大学入学共通テスト
マークシートに加え、「国語」と「数学」で記述問題を出題。国語で20分程度、数学で10分程度、試験時間を延ばす。2024年度からは理科・地歴・公民でも記述式問題を検討
英語
大学入試センター試験
マークシート方式の筆記試験とリスニング試験を実施
大学入学共通テスト
「書く」「読む」を含む4技能を評価できる英検やTOEFLなどの民間資格・検定試験を国が認定し、3年生の4~12月の2度までの試験結果を各大学に提供する。(2023年度までは共通テストも実施し、認定試験と併用する)

私立学校の父母負担軽減事業補助制度の影響(平成29年度より)

県内在住で県内の私立高校に通う場合に申請可。

①授業料軽減補助

世帯年収609万円未満の世帯に対し、国の就学支援金と合わせて県内私立高校の平均授業料375,000円(年額)まで補助し、授業料を実質無償化。

②入学金軽減補助

世帯年収609万円未満の世帯に対し、一律で100,000円を補助。

②施設費等納付金に対する補助

世帯年収500万円未満の世帯に対し、県内私立高校の平均額200,000円(年額)まで補助し、実質無償化。

2018年度入試の募集定員と倍率

埼玉県内の中学校卒業予定者が昨年度より1,137人減少したため、全日制の募集定員も800人減少しました。今回の入試では浦和第一女子、蕨などは例年に比べ受験しやすい状況にあったと言えます。

しかし、最も重要なのは倍率に左右されない学力を身につけることです。

募集定員が40名以上増加した高校(一部抜粋)


募集定員が40名以上増加した高校(一部抜粋)

募集定員が40名以上減少した高校(一部抜粋)


募集定員が40名以上減少した高校(一部抜粋)

志願倍率の動向

新設校である川口市立は予想通り高倍率となりました。

専門学科が高倍率になる要因は、募集定員が少ないことや学科の専門性に強い関心のある受験生が受験していることに加え、普通科を第2志望として出願する受験生が一定数存在していることが考えられます。

倍率ランキングTOP10
高校名(コース) 2017年度倍率 2018年度倍率
① 川口市立(理数) 新設 2.28
② 大宮(理数) 2.50 2.23
③ 川口市立(文理スポーツ) 新設 2.16
④ 松 山(理数) 1.83 2.08
⑤ 市立大宮北(理数) 2.28 1.83
⑥ 春日部女子(外国語) 1.70 1.80
⑦ 市立浦和(普通) 1.70 1.71
⑧ 所沢北(理数) 2.00 1.65
⑨ 南稜(普通) 1.52 1.61
⑩ 浦和西(普通) 1.57 1.60

※2018年2月26日現在

上位は 専門学科 が独占!

理数学科 Top3
高校名(科) 2017年度 2018年度
①川口市立(理数) 新設 2.28
②大宮(理数) 2.50 2.23(5年連続TopからDown)
③松山(理数) 1.83 2.08

※2018年2月26日現在

外国語学科 Top3外国語科 平均倍率 1.48
高校名(科) 2017年度 2018年度
①春日部女子(外国語) 1.70 1.80
②和光国際(外国語) 1.51 1.59
③不動岡(外国語) 1.53 1.55

※2018年2月26日現在

「見かけの倍率」と「真の倍率」

「見かけの倍率」と「真の倍率」が生じる高校

理数科・外国語科などと普通科を併設している高校で、それぞれを第1志望・第2志望として受験できる高校には、「見かけの倍率」より高い「真の倍率」が存在していると言えます。大宮・越谷北・不動岡・所沢北・熊谷西 などが挙げられます。発表される倍率よりもやや厳しめの受験を想定しておくことが必要です。

第1志望=大宮(理数科)第2志望=大宮(普通科)の場合。

理数科
募集定員 志願者数 倍率
40人 89人 2.23倍

⇒49人が不合格

普通科
募集定員 志願者数 倍率
318人 478人 1.50倍

⇒見かけの倍率

大宮高校全体(普通科志願者+理数科不合格者)
募集定員 志願者数 倍率
318人 527人(478名 + 49名) 1.66倍

⇒真の倍率

私立高校情報 コースに変更のあった高校

細田学園

  1. 選抜Gを新設
  2. 選抜 ⇒ 選抜Lに名称変更

浦和学院

特進類型4コース ⇒ T特・S特・特進の各コースに再編

淑徳与野

  1. S類-MSを新設
  2. S類 ⇒ S類-文理に名称変更

正智深谷

  1. 特別進学Sプラス ⇒ 特別進学-Sに名称変更
  2. 特別進学Sセレクト ⇒ 総合進学-Iに名称変更
  3. アタック総合進学P ⇒ 総合進学-Pに名称変更
  4. 特別進学-Hを新設

大妻嵐山

選抜 ⇒ 大妻グローバルに名称変更

浦和麗明

女子校 ⇒ 共学校

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