令和6年度 埼玉県公立高校入試【総括】
国語 吉田 誠講師
語彙力の増強が高得点への近道
国語の大問構成は昨年度とほぼ同様であった。
大問1は小説の読解
中学1年生の「真宙(まひろ)」の様子や心情を、同級生の「天音(あまね)」や先輩の「柳(やなぎ)くん」との対話を通じて読み取る。
問1は、傍線①について「真宙」の様子を選ぶ問題。傍線の「当惑して、思わず空を見上げる」、傍線後の「だけど、何も確認できない」と合うものを選ぶ。
問2は、傍線②について「真宙」の心情を選ぶ問題。傍線前の「陸上部は?」という真宙の発言を受けて、「柳くんがびっくりしたように真宙を見つめ返す」ことから傍線②になったことを読み取る。
問3は、傍線③について「柳くん」が気まずかった理由を記述する問題。傍線前の物理部に入った理由のやり取りの中で、「物理」は「センスがない人は、~太刀打ちできない」「だから、~すごい。」という天音の発言に対し、柳くんが「え、そんなこともないよ。~物理、取ってないし。」と発言したことから考える。
問4は、傍線④について「真宙」の様子を記述する問題。傍線に「柳くんの答え」とあるので、会話文に注目。傍線前に「答えがない」「そこが楽しい」とあり、スポーツよりも研究や観測に夢中であることを捉える。
問5は、本文について「適切でないもの」を「2つ」選ぶ問題。各選択肢で述べられている表現の効果を、本文の内容と照らし合わせながら慎重に選ぶようにしたい。
大問2は知識事項や言語能力を問う問題
漢字の読み書き、助動詞「ない」の識別、熟語の構成、スピーチの原稿に関する問題が出題された。
大問3は論説文の読解
「モノ」の所有と贈与には「人格」が宿ることを論じた文章であった。
問1は、傍線①について適切なものを選ぶ問題。傍線に「こうした」という指示語があるので、直前のタンザニアの例から読み取れる「循環」に合うものを答えれば良い。
問2は、傍線②について「モノの社会的履歴」に伴う「交換価値」の変化を説明する記述問題。指定語句を手掛かりに、「元の所有者~付帯する」の部分と「商品化」による価値の変化をまとめる。
問3は、傍線③について理由を選ぶ問題。傍線後の「それは」に着目して読み進め、「贈り手の人格が憑いている」「捨てるという行為が~恋人への執着と決別するという儀式になる」という部分をもとにして答える。
問4は、傍線④の考え方を説明した文を選ぶ問題。傍線の直後に「再考を促す」とあるため、筆者の主張である「すなわち」の後の「贈り物を~いまだに持ち主に帰属している」とは反対の立場の選択肢を選ぶ。
問5は、傍線⑤と筆者が考える理由を記述する問題。傍線⑤を含む一文から「元の所有者が~働きかけている」ことを押さえ、「先述」の内容である「モノは~帰属している」という指定語句の箇所をまとめる。
大問4は古文の読解
指示語の指し示す内容、歴史的仮名遣い、内容理解などについて問われた。問4は「むら雲」が「月」を隠し、「風」が「花」を散らす、という関係に気づけたかどうかがカギであった。
大問5は作文
「持続可能な開発目標(SDGs)の推進」について、資料をもとに、自分の考えや体験を書くものであった。「注意」を確認して、条件を守って書くことが重要である。
国語の文章問題においては、小説では心情や場面の変化、論説文では、話題や筆者の主張などの全体像をつかむことが大切である。論説文では「忌避」「帰属」「媒介」「利他的」など、求められる語彙のレベルが上がっている。速く正確な読解を実現するために、日頃から言葉に興味を持ち、語彙力の増強に努めたい。
数学(学力検査問題) 萩原 麻美子講師
基礎力の定着が高得点へのカギ!
大問数に変化はなく、昨年よりやや解きやすい問題が多かった。
【大問1】計算問題・小問 16問(65点)
配点は65点と昨年同様に高く、例年通り中1から中3までの計算問題及び小問集合だった。素早くかつ正確に処理し確実に得点したい。(12)(15)(16)は学校選択共通問題。
(10)は、円周を10等分してできる弧に対する円周角が18度になるのがポイント。三角形の内角や外角の関係を利用する。(11)は、三角形の面積を平行四辺形の面積をもとに何分のいくつになるかを考えると求めやすい。(12)は度数分布表に関する正誤判断の問題。用語の意味が分かっていれば難しくない。(13)は確率の計算。「10x+y」が2桁の数を表していることに気が付けば倍数の判定がしやすい。(15)は規則性の問題。1辺が4cmの正三角形に分け、かげをつけた重なる部分と重ならない部分の個数を書き出し、規則性を見つけると分かりやすい。(16)は昨年に引き続き「箱ひげ図」に関する記述問題が出題された。指定語句である「第1四分位数」「第3四分位数」がともに早くなっていることを書けばよい。出題範囲は幅広いが基本的な問題の集合のため取り組みやすかった。
【大問2】作図・図形の証明 2問(12点)
(1)の作図は線分比が2:1となる台形の頂点の作図で戸惑った受験生もいたと思われるが、垂線と垂直二等分線を組み合わせるということに気が付けばそれほど難しくはない。
(2)は「図形の証明」。等しい角の表し方がポイントであるが、頻出パターンであり、このようなタイプの問題を一度は解いたことがある人も多かったのではないか。
【大問3】関数(学校選択共通問題) 3問(13点)
関数分野で会話文形式の問題は今までにはないパターンである。(2)は座標を図に書き込んでみると条件にあてはまらない理由が見えてくる。(3)は場合分けして求めなければならず難度が高かった。
問題文は長いが、考え方自体はさまざまなテストで出題されるもの。練習を重ねた受験生にとっては取り組みやすい問題だった。
【大問4】空間図形 2問(10点)
空間図形の出題だが、与えられた立面図をもとに平面図形の知識を用いて考える。
(1)は水の体積を求める問題。立面図の中で相似な直角三角形を複数見つけられれば、三平方の定理を用いて必要な長さを求めることができる。(2)の長さも、それらの三角形の辺の長さと相似比を用いて求めることができる。
基本的な問題が多く出題されており大問1でどれだけ正答できるかが高得点へのカギとなる。各中学校の定期試験の勉強はもちろん、数学検定などで様々な問題に取り組み、中学3年間を通して日々の学習で基礎力を高めていくことが、入試での高得点につながると言える。
数学(学校選択問題) 萩原 麻美子講師
時間配分との勝負!
学力検査問題同様、大問数に変化はなく、昨年よりやや解きやすい問題が多かった。
【大問1】計算問題・小問 10問(45点)
(1)~(3)は単項式の乗除・平方根の計算・二次方程式という定番の構成。複雑な計算を避ける方法は過去の出題と同様なので練習が必要。(4)(5)(10)は学力検査共通問題。(7)はまずaの値を求められるかが重要。変化の割合の公式を知っていると取り組みやすい。(8)は回転体の体積を求める問題。三平方の定理と複数の円錐を組み合わせて考えるもので、難度は高い。
【大問2】作図・証明 2問(13点)
(1)は作図の問題。題材は学力検査問題と同じであるが、条件を変えて難度を上げている。
(2)も題材は学力検査問題と同じであるが、証明すべき三角形を自分で見つけなければならず、三角形の合同証明をした後、さらに相似の証明が必要でやや難度が高い。三角形の合同証明の後、対応する角の大きさが等しいことから「円周角の定理の逆」を用い4点A,B,D,Iが同一円周上にあることを利用して∠CIH=90°を導いてもよい。
【大問3】関数(学校選択問題共通問題) 3問(13点)
【大問4】確率・場合の数 3問(17点)
【ルール】をよく読みしっかり理解した上で、樹形図を書いて数える。数え落としや重なりがないように落ち着いて慎重に数えることが必要である。②は①で数えたものを除かなければならず、ミスが起こりやすい。
【大問5】空間図形 2問(12点)
(1)は学力検査問題共通問題。
(2)は難問。図の中に長さを書き込み、等しい角の印をつけるなどして、合同な三角形や相似な三角形を見つけ、それをもとに解いていくが、正解にたどり着くまでのプロセスが複雑なため制限時間内に解き切るのは厳しかったであろう。
昨年と比べると比較的解きやすい問題が多かった。ただ、複数の単元の知識を必要とする問題が散りばめられているので柔軟な発想力と直感力が必要である。限られた時間内で、「できる問題」をミスなく確実に正答することが高得点へのカギとなる。日頃の学校や塾の授業を大切にし、数多くの問題を解き、経験値を積むことが大切である。
社会 茂木 敬太講師
教科書やテキストの熟読と過去問題集のやり直しが高得点を得られるカギ
出題範囲
範囲の変更はなく例年と同じ形式で出題された。
三分野の配点は地理30点、歴史33点、公民23点、三分野総合14点であった。
基礎力を重視しつつ、図式化された問題に対応する力が求められている。また、教科書にはない時事問題も出題された。ほかにも各大問に1題ずつあり、合計で30点分となる「記述問題」の正答で差がついた可能性が高い。
出題形式
【大問1】世界地理
昨年と比較すると雨温図の問題がなくなり、資料を使った問題(記述・選択形式各1問ずつ)となった。問3は日本の企業の海外進出の理由を問う記述問題で、労働人口が多く、かつ賃金の安い地域に日本企業が進出することを問う良問であった。また、アメリカ、ポルトガル、スイス、日本の国民1人あたりのGDPを比較したグラフから特徴を見つけ出し、正しく記述されている文を選ぶという問題は、業者テストや塾での模試ではよく見る形式であり、多くの模擬試験や過去問題に接した生徒にとっては取り組みやすかったと思われる。
【大問2】日本地理
例年と同様に大きな変更はなかった。問4の徳島県に関連した交通や通信の特色についての問題は、地図、資料から会話文を完成させるものであった。教科書に掲載されている資料もあり、教科書を熟読していた受験生は落ち着いて解けたと思われる。
地形図の問題では、昨年と少し異なり「野外観察(フィールドワーク)」を行った地点の写真から、その実地点を地形図から探す問題ではあるが、写真の下に記載された場所を示すキーワードが解答へのカギとなっており、そのキーワードを基に実地点を探す形式であった。ほぼ同様の問題が兵庫県の2023年度入試でも出題されていた。
【大問3】歴史
例年と大きな変更点はないものの、問3「下地中分」や問4「伊能忠敬」を答えさせる問題はややなじみの薄い内容であり、教科書などをしっかりと学習できていないと正答が難しかったと思われる。
【大問4】歴史
問2は、ステップチャート図を用いて、不平等条約の改正までの道のりを穴埋め形式で作成するという新しい形式の問題であった。ステップチャート図とは、ものごとの順序を考えたり、手順を計画したりするときに役立つ思考ツールの一つで、歴史のまとめノートを作成する際に役立つ。今回は、ノルマントン号事件と日英通商航海条約を入れて完成させる問題であった。
【大問5】公民
例年と大きな変更点はなかった。内容は一部難度が高いものが出題された。問3の日本の司法制度についての選択問題では、「イ 被告人は、裁判を受けるまでは有罪とみなされる~」の内容は「有罪」はまちがい、「ウ ~裁判員裁判の対象となる事件~取り調べの可視化が義務付けられている」が正しい。また、問6「座標軸による分類」の問題では、「自由貿易、保護貿易」「小さな政府、大きな政府」の意味をしっかりと理解した上で各党の主張を読み取り分類していく必要がある。社会的な知識に加え、国語的読解力も必要な問題であり、今後このよう問題の出題が増えると考えられる。問7は2023年5月に広島で開催された主要国首脳会議(G7)に関する内容であった。日頃から日本国内、世界の政治・経済の情勢に興味を持ち、情報収集をしておく必要がある。
【大問6】三分野総合
職場訪問をし、そこで働いている人へのインタビュー結果を把握した上で、様々な社会科の分野問題に答えていく形式であった。
問1では入試問題中唯一の「並び替え問題」が出題された。安土桃山時代・江戸時代・明治時代・大正時代と「時代」で明確に並べることができるので、問題としては比較的取り組みやすかったと思われる。
問4は「問題文を読む➝何を問われているのか➝そのために必要なグラフの選択➝そこからわかる成果を記述させる」という形式で、昨年と変わらない。過去問題にしっかりと取り組んでいた生徒は落ち着いて解けたであろう。
展望
「教科書・資料集・地図帳」の熟読が高得点の近道。教科書を読み、場所は地図帳で確認、資料集で補完する。その後、学校や塾のワーク問題に取り組み、できなかった問題はあらためて解きなおすことが効果的。また「なぜそうなるのか(そうなったのか)」などの理由・原因・結果などを説明する「記述問題」の出題数や配点は年々高まっており、ただ単に単語を暗記するだけでなく、そういた記述問題に対する練習も必要である。時事問題については、日頃から新聞やニュースの内容に目を通しておくことが対策になる。
理科 湯浅 祐紀講師
1ページあたり1から2問。情報を読み解く力が問われる問題。
大問1
例年通りの一問一答形式で、中学3年間で学習した各単元から8問出題されている。今年度は8問中5問に図や表があり、問題を読む前に内容をある程度推測することができた。また、身近にあるものからの出題として、問4では、壁に貼った「は」の字を水の入った透明なコップを透して見るとどのように見えるかを問う問題が、問7では、火力発電の仕組みから「エネルギーの変換に関する問題」が出題された。
大問2
【地球と宇宙】「月の見え方」についての問題が出題された。令和4年度入試の大問2にて,月についての出題があり,短い間隔での出題に驚いた受験生も多かったと予想できる。問題自体は,図や説明の情報を正しく理解し,解答していく近年多くみられる傾向の出題であった。また,問4では,相似比の2乗が面積比になるという「相似な図形」の関係を用いて解く問題であった。
大問3
【動物の分類と進化】学校周辺の動物から,学習を進める形式の出題であった。出題内容は比較的容易で,正答率も高くなることが予想される。問5は,哺乳類の特徴である「胎生」を定義である「乳を与えて育てる」に変更することで、カモノハシを哺乳類に分類するという問題。カモノハシの生態を知らなくても図や表から情報を整理すれば解答できる。
大問4
【化学変化】炭酸水素ナトリウムの反応に関する問題で,身近な「重曹」と「セスキ炭酸ソーダ」へと内容が発展していった。炭酸水素ナトリウムの分解における実験は,定期テストでも頻出するため,扱う実験内容は見慣れたものであった。問3では,生徒が行った実験結果が正しく得られなかった理由を、どの工程でどのような失敗をしたのかを考える「考察する力」を問う問題であった。問5では,油汚れにはpHがより大きくアルカリ性の強いセスキ炭酸ソーダが、鍋のこげには水に溶けにくい性質から研磨剤効果が期待できる重曹の方が向いていることを説明する問題であった。
大問5
【斜面を下る運動】斜面を下る運動を用いた,力の合成と分解,エネルギーに関する問題であった。問3は斜面上で鉄球をはなす高さと測定器を通過する速さの関係をグラフにする問題。2人の生徒が同じデータにもかかわらず直線のグラフと曲線のグラフと意見が分かれる。正しい結果を得るために必要な追加実験はどれかを選択するという課題解決の方法を問う問題となっている。問4(1)では,鉄球を転がすコースが異なるにも関わらず測定器を通過する速さが同じであったことを、「力学的エネルギー保存の法則」より、指定語句を使って説明する問題であった。
出題形式は例年通り
大問2~5は、図表や会話文をもとに問題が構成されているため、大問1つあたり3ページ(1ページあたり1から2問)が出題された。1ページあたりの情報は多いが、「授業場面」や「ノートの内容」「レポート」で区切られているため比較的整理しやすい構成となっていた。また、理由や仕組みなどを記述する問題が出題されており、図や表から必要な情報を読み取り、それらを「文章にして」「わかりやすく説明できる」力が必要である。
大問1の小問8つと大問2~5の単元を合わせると,中学3年間で学習したほぼすべての単元が出題されている。各分野、単元に偏りを作らないよう、幅広く学習することが重要である。
英語(学校選択問題) 蛯谷 雄一郎講師
高い問題処理能力と幅広い文法知識が必要
出題形式や問題数は昨年度と同様。語彙数は昨年度より少なくなったが、ここ数年の長文問題と比較すると全体的に文法が複雑で読みにくい。学校選択問題を解くうえで課題となる「英文を速く正確に読み、そして素早く解答を導き出す」という趣旨は変わらないが、さらに高度な問題処理能力が求められるようになったと言える。
大問1
大問1のリスニング問題は例年と大きな変化はない。例年通りすべての音声が英語による指示。全体的に解答しやすい問題が多い中、最後の2問は得点に差がでる出題。No.7 (2)では本文中で“How long have you been…?” と読まれている英文を間接疑問文へ書き換える問題。さらにNo.7 (3)では、リスニング内容から関係代名詞を用いた表現を記述する問題のため、リスニング力に加え正しい文法知識も求められる設問であった。
大問2
大問2は例年通り、4つの短い文章に続くそれぞれの設問に答える【学力検査問題の大問4】と同じ内容の会話文。「ピクトグラム」に関する比較的読みやすい内容だったが、「what ~ like(何のよう)」や指示語のthoseに直接分詞で修飾させる「those found in ~(~で見つけられるそれら)」が文中で使われ、また問3の整序問題では第5文型makeを前置詞forの後ろで使用し、さらに意味上の主語「for 人」を「不定詞to ~」の前に入れさせる高難度の出題で苦戦した生徒も多かったのではないか。また、問5の英問英答問題でも、本文中では「because of+名詞」で書かれている文章を「because 主語+動詞」に書き換えなければならないため、正確な英文法理解を必要とした。それぞれの設問において中学校3年間で履修する幅広い文法が出題され、総合的な英語力が求められた。「スライドを作ろう」という一文で文章を締め、現代を反映している内容で面白い。
大問3
大問3は「人工冬眠」についてのエッセイ。注釈はあるものの使われている単語の難度が高い。また複雑な文法を使用するため一文が長く、内容が身近ではないため限られた時間内で理解するのは非常に難しい。語形変化の問題では初めて「名詞(life)」に関する問題が出題。問4は大問2同様、「by ~ing」で表した方法を「because 主語+動詞」で答えさせる形式だが、英検準2級・2級の二次試験で出題される形式と同様のため検定を受験している生徒には慣れた問題。問6は例年通りの2語を補充して要約文を完成させる問題で、本文に出てくる語句や表現を空欄に当てはめるためには、本文の正確な読解力と正しい英文法知識が求められる。しかし、本文の内容とは反対に解きやすい設問も含まれており、難度の差を見極め解答する問題処理能力が大問3の高得点のカギといえる。
大問4
大問4の英作文は、「キャッシュレス決済をもっと使用すべきか」という生活に身近なテーマ。その場でまとめるのは難しいが、英検準2級や2級の二次試験で出題されたこともある内容で、やはり英検を経験したことのある生徒にとっては書きやすい内容。
英語(学力検査問題) 蛯谷 雄一郎講師
総合的な文法知識と幅広い語彙力がポイント
問題量や難度は昨年とほぼ同様。中学3年間で学習する文法単元と語彙が幅広く出題されている。「新学習指導要領」の改訂に伴い、出題されていた「仮定法過去」「現在完了進行形」からの出題はなかった。
大問1
大問1のリスニング問題に例年と大きな変化はない。28点を占めるリスニング問題で確実に得点することが高得点につながる。
大問2
大問2は昨年同様に、基本的な語彙や表現を試す空欄補充問題に加え、問3では条件英作文が出題された。今年度は、曜日など基本単語の出題に加え、例年にはなく「前置詞」、省略された目的格の関係代名詞を含む表現を完成させる問題が出題され語彙力だけでなく正しい文法知識も求められた。問3の条件英作文も基本的な助動詞を使用した英文と、語群から1語を使用して英文を書く必要があり、ここでも正しい文法知識と語彙力を必要とした。
大問3
大問3は例年通り短めの文章題。問2では本文の内容を理解したうえで、「there is ~」に対応する不可算名詞にenoughを使って答える問題で、選択問題であるが本文の内容理解と文法知識が求められた。問3の整序問題は「there is ~」と「名詞を修飾する過去分詞」に気付けたか。問4の英問英答問題では本文を根拠に、動詞に3単現のsをつけて解答する問題など、中学3年間の基本的な文法知識を総合的に理解していることがポイントとなった。
大問4
大問4は昨年同様に【学校選択問題の大問2】と同じ内容の会話文。例年通り4つの短い文章に続くそれぞれの設問に答える形式。「ピクトグラム」に関する比較的読みやすい内容で、特に難度の高い設問があるわけではないが、不定詞、接続詞、関係代名詞などの文法知識や語彙表現など幅広く出題され、総合的な英語力が求められた。問7は、「I hope」に「主語+未来形の助動詞will ~」を続ける問題。その後が「I’m sure ~」や「anything else」など過去に出題され問題と同様の文章なので、過去問題をしっかりと解いて試験にのぞんだ生徒は得点できた。
大問5
大問5は短い英文を読み2つの設問に答え、さらに英作文をする形式。「スポーツを見ることと、することどちらが好きか」というテーマ。英検3級や準2級でライティングの練習を経験している生徒にとっては書きやすい内容だった。
入試問題の分析 アーカイヴ
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