2018年度 千葉県高校入試 問題の分析

2018年度 千葉県高校入試 問題の分析

千葉県問題の分析

前期 国語 岡部 順介

バランスのよい国語力を身につける

岡部講師

大問数や出題形式は例年どおりであった。

大問1は放送による聞き取り問題。放送が流れる前に選択肢を一通り見ておくと、放送の内容を予測しながら聞くことが出来るので効果的。

大問2・3は漢字の読み書きの問題。漢検の学習が有効。

大問4は国語の知識に関する問題。今回は文法、敬語、ことわざの基本的な知識が問われた。

大問5は論説文の読解。日本語の語彙が減少している現状について、具体例を参考にして筆者の主張を読み解く。(1)は、傍線Aの前に「冒頭で述べたように」とあるので、文章最初の内容がヒント。(2)は、傍線Bのあとから具体例がはじまり、その内容を「つまり」でまとめている段落があるので、そこに注目。(3)は、本文の空欄Cの前後の「語彙の減少」「鈍化」という語をヒントにして本文の他の部分から条件に合う内容を探して答える。(4)のⅠは、設問の空欄前の「『よかった』『面白かった』などの言葉で済ませてしまう」を手がかりに探す。Ⅱは、傍線Dの直前の比喩の内容を参考に、指定語句を使って答える。

大問6は小説の読解。「光圀」の兄に対する心情の変化を捉えながら読む。(1)は、傍線Aの前の「おれが世子だぞ」「竹の字に負けるものか」という表現をもとに答える。(2)は、空欄Bのあとの「やっと兄について理解できていた」「兄は病気に倒れた者の孤独をよく知っている」という表現をもとに答える。(3)は、空欄Cのあとに「だが」とあるので、それとは反対の心情を探して答える。(4)は、傍線Dの前の「代わりに」に注目。その前にある、兄に対する思いを捉える。(5)は、傍線Eの前の「自分にはこの兄がいる」「その事実が勇気を与えてくれる」という表現をもとに選ぶ。(6)は、人物像を選ぶ問題。心情を直接表す語や動作・会話からとらえる。光圀については「対抗心」や「競争心」、兄については「優しく微笑みながら」などの表現が解答の手がかりとなる。

大問7は古文の読解。注や設問のヒントを参考に、主語を捉えながら読む。

大問8は作文。図書館で掲示したポスターの表現の違いから、マナーの改善の効果について考える問題。資料をもとに、考えた意見をはっきりと述べる力が求められている。

今後も聞き取り問題・国語の知識・論説文の読解・小説の読解・古文・作文と、バランスの良い国語力を意識して身につけていく必要がある。

後期 国語 岡部 順介

大問数や出題形式は例年どおりであった。

大問1は放送による聞き取り問題。問いも放送されるため、正確に聞き取る集中力が必要。

大問2・3は漢字の読み書きの問題。漢検の学習が有効。語彙を増やすことで、文章題を読むスピードと理解力も向上する。

大問4は小説の読解。「わたし」の視点から「満麿」の様子が描かれている。「満麿」の絵に対する取り組み方の変化を中心に読み取る。(1)は、空欄がある文の最初に「が」とあるので、前の文とは反対の方向の表現が入る。(2)は、傍線Bのあとの内容をもとに答える。(3)は、傍線Cの前の「最初に~丹念な筆致はない」「赤が冴え」「情感がある」という表現をもとに選ぶ。(4)は、傍線Dの前の会話のやり取りをふまえて答える。(5)は、傍線Eの前の「お前は、絵がわかる」という表現をもとに、「共感」という指定語句を入れてまとめて書く。(6)は文章について説明したものを選ぶ問題。アは「絵画に自信をもっている主人公」の部分、イは「五感を通してみずみずしく描いている」の部分が本文と合わず、エは全体的に本文の内容と合わない。

大問5は説明的文章の読解。日常のなんでもない日の記憶をよみがえらせてくれるきっかけが俳句であるという、筆者の考えを捉えながら本文を読み進める。(1)は文法の問題。助動詞「ようだ」の識別が出題された。(2)は脱文挿入の問題。抜けている文に「その情景」とあるので、前にその話題が述べられているところを探す。(3)は、秋の季語を本文から探す問題。(1)と同様に、普段の学習の成果が如実に表れる知識問題での失点は、最小限に抑えたい。(4)は空欄補充問題。前後の関係を比べて答える。空欄の前は「私」の俳句と記憶にまつわる話があり、空欄のあとは「別の記憶を呼び覚まされる読者」について述べられていることから答えを導く。(5)は、傍線Bのあとに「それは」と説明が続いているので、その部分と選択肢を照らし合わせて答える。(6)は、設問の空欄前後と似た表現を本文から探して答える。Ⅰの前の「限定された十七音の言葉が」が手がかりとなる。

大問6は古文の読解。歴史的仮名遣い、人物同士の関係、内容理解について問われた。主語を確認しながら丁寧に文脈をおさえることが、全体像の理解につながる。

大問7は作文。友だちとのコミュニケーションにおいて大切にしていることについて意見を選び、自分の考えも書く問題。意見を相手にわかりやすく表現する力が求められている。

前期入試同様、バランスの良い国語力を身につけながら、40分という時間制限の中で正確に問題を処理していく能力を鍛えていく必要がある。

前期 英語 村上 献

出題形式をおさえ、基本の徹底を

村上講師

大問1~4は例年通りのリスニング問題。大問1の設問数が例年の2問から3問へ、大問3の設問数が3問から2問へ変更になった。大問4は昨年より導入された、放送された英語を聞いて英単語を書く形式の問題。出題された英単語は、sing, Sunday, eight, homeworkで、いずれも中学1年生で習う単語であった。

大問5は文法知識を問う問題。(1)、(2)は英単語を正しい形にする語形変化問題。(3)、(4)、(5)は英単語を正しい語順に並べかえる整序問題。(1)は現在完了形の文で、“be ”を過去分詞形“been”に変える。(2)は人称代名詞に関しての問題で、“her”と“hers”の使い方を間違えないように。(3)は受動態、(4)は接続詞、(5)は関係代名詞目的格の使い方が問われた。(5)の単元は頻繁に出題されるため、しっかりと理解して臨みたい。

大問6は例年通り、対話形式の英作文問題。今年のテーマは、日本人学生と留学生が混雑している人気ハンバーガー店を訪れたときに、留学生側の立場で英文を書く問題。文の数に制限はないが、語数には制限がある(20語程度)ので、ある程度まとまりのある長い文を書く必要がある。配点が8点と高く、また部分点もあり得点差がつきやすいので、色々なテーマで練習しておく必要がある。

大問7は短い3種類の文章読解問題。出題形式は例年通り、適語句選択、内容一致、英問英答。(3)は動物の里親を探す施設のポスターを読ませる形式で、身近な題材と道徳的な観点を交えた点が特徴的。①の英問英答は難易度が高く、主語を“It”に直し、本文中には出てこない“find”を文脈から類推させた。

大問8は日本の外国人観光客数をもとに「おもてなし」について書かれた長文問題。昨年同様の問題形式で、グラフの読み取り、適文・適語補充、内容一致が出題された。(3)の適語補充問題は接続詞の“that”、“it is … for 人 to ~”、間接疑問文を一文に混在させた複雑な文で難易度が高い。3つ目の話に出てくる “so … that ~”なども含め、複雑な構文を読み抜く練習を日頃からしておかないと正解を導くのが難しい。

大問9は対話形式の読解問題。ここ最近の千葉県公立高校入試では必ず出題される形式である。正答へのポイントは、文の流れを考え空欄の前後をしっかりと読むこと。(1)の前の“Is it?”の後ろの語句の省略、疑問詞の受け答えなど、会話文で良く出題される形式を練習しておくと良い。

後期 英語 村上 献

昨年度までと比べ大問数が6題から7題に増えたが、これはリスニング問題を、記号選択と、数字や文字で書いて答えるものに分けたためである。設問数や配点に変更はなかった。

大問1、2はリスニング問題。形式は昨年同様でNo.1, No.2はイラストから、No.3, No.4, No.5は英語の文や語句から答えを選ぶ問題。大問2の①、②は昨年から導入された放送された英文を聞いて数字や英単語を書く問題。今年は①では、年号の読み方を数字で書く問題、②は読まれたつづりをアルファベットで書く問題であった。

大問3は文法知識を問う整序問題が例年通り3題出題された。(1)はbe動詞を用いて場所を表す文でat the end of ~という熟語の知識を問う問題。(2)は間接疑問文が出題されており、疑問詞以下の語順に注意が必要。(3)は関係代名詞と熟語be famous for ~を混在させた問題。

大問4は例年通り与えられた質問に対して、I think so, too.またはI don’t think so.のいずれか一方を選び、その理由を15語程度で書く条件作文。今年の質問内容は「英語以外にもう1つ外国語を習った方が良い。これについてどう思いますか。」であった。配点が8点と高いが、事前に様々なテーマを想定し文法ミス等ないよう英作文の解答パターンをしっかり練習していけば満点も狙える。

大問5は短い2種類の文章読解問題。(1)は電車会社のイベント広告を見て答える問題。時刻表や細かな但し書きから情報を読み取る必要があり時間がかかるため、特に②の内容一致問題は難易度が高い。(2)は飲食店における人々の礼儀について書かれた問題。①は英語の質問に英語で答える問題。②は英文の内容と正しい看板を答える問題。第2段落に答えがあり、関係代名詞とask 人 to ~、従属接続詞のif、等位接続詞のorや前置詞with、withoutを使った英文を正しく読めたかどうかが重要。

大問6は抜けた乳歯をどうするか、の言い伝えについて書かれた問題。出題形式は昨年同様、適語補充や内容一致であった。どの問題もていねいに読むことで正解が出せるが、設問に答える際に読み直しをしていると時間が無くなってしまうため問題文を読む前に設問に目を通しておくと良い。

大問7は例年通りの対話形式の読解問題。攻略のポイントは空欄の前後をしっかりと読み取ることである。「It takes 時間 to ~.」「~するのに時間がかかる。」、「How long ~?」など時間に関する応答が目立った。また、今年の問題で特徴的だったのは(3)で、時差に関しての問題であった。「Tokyo is two hours behind.」「東京は2時間遅れている。」の意味を正しく理解できたかどうかがポイントで、東京とシドニーの位置関係や時差に関しての知識があれば、誤答は避けられるだろう。

前期 社会 大出 亮

教科書を基本とした具体的な理解を

大出講師

本年度の問題数及び形式は例年と同様で特に変わった点は見られない。

大問1は例年通り、千葉県について取り上げ、地理・歴史・公民を融合させた問題だった。アンケート調査の結果を読み取る「資料の読み取り問題」も昨年同様出題された。

大問2は日本地理分野からの出題。関東地方の県庁所在地を問うもの、瀬戸内地域の雨温図を選ばせるもの、竿燈まつりの写真から秋田県を答え、位置を選ぶものなど基本問題が多かった。

大問3は世界地理分野からの出題。ある地点の地球上の正反対にある地点の緯度・経度を選ばせる問題、アフリカ大陸の国々の中から、第一次世界大戦開戦時にヨーロッパ諸国の植民地にならなかった国を選ぶ問題など、やや難問が出題された。語句の暗記だけでなく、考え方の理解や幅広い知識が求められた問題だった。

大問4は歴史分野からの出題。奈良時代から江戸時代までの内容。各時代のカードをもとに、政治の仕組みや社会の様子が問われた。時代ごとの特徴をしっかりと把握しておく必要がある。

大問5も歴史分野からの出題。大正時代~戦後までの内容。「20世紀のできごと」についてのパネルを見て答える問題が主だが、第1回原水爆禁止世界大会の時期が問われるなどの難問があった。語句の暗記だけではなく、語句の説明、地名の暗記だけではなく地図上の位置を確認するなど、教科書を使い隅々までチェックしておくことが大切だ。

大問6は公民経済からの出題。税制や少子高齢社会が取り上げられた。歳入や税制から始まり、社会保障費への負担を問う良問。「介護保険制度」の指定語句を使った記述問題は、他県でも出題されている形式。ただ語句を覚えることだけに力を注いでいると、解答に苦しむことになる。

大問7は公民政治。日本国憲法や国会、選挙について問われた。基本的な問題が多いなか、ドント方式の計算問題が出題された。公民分野全般に言えることだが、作業する必要がある問題は必ず身につけておくことが大切である。

大問8は公民分野。貿易の自由化及び国際社会と日本の関係が取り上げられた。経済連携協定の略称(EPA)を答える難問も出題された。

公民分野は3年生から授業で扱われるが、毎年25点前後の配点があるため、早めの習得が必要。また、教科書の後半に載っている国際連合や世界情勢に関する問題も出題されるため、3学期になってからの授業内容も重要である。どの分野も教科書を基本とし、資料集、地図帳を使いより具体的に理解することが重要。また他県の入試問題にふれることも問題を解くうえで必要なことなので、隣県の公立高校入試問題には目を通しておくべきであろう。

後期 社会 大出 亮

問題構成は例年と大きな変化はなく、7つの大問からなる形式であった。

大問1は千葉県をテーマにした三分野総合の問題で、地理・歴史・公民から1題ずつ出題された。過年度の問題と同様に、地理は千葉県の特色を他県と比較する内容。今回は製造品出荷額等割合と合計額を示した資料が題材であった。印刷の割合が高い東京都、化学の割合が高い千葉県など、知識を活用して資料を読み取る力が必要である。

大問2は日本地理、大問3は世界地理の問題。日本地理では県庁所在地と地形図の読み取りが、これまでの傾向と変わらず出題された。世界地理では、イギリスのユニオンジャックがイングランドとアイルランドとどの国の国旗を組み合わせてできたかを問う問題が出題された。教科書の太字の用語だけでなく、幅広い知識が問われる問題といえる。

大問4は、江戸時代を中心とした歴史の問題。(1)は、海外の情勢を知るための報告書を7字で答える問題。文章より、オランダと判明しているのでオランダ風説書が正解。大問5は、千葉県ゆかりの人物である柳宗悦の略年表をもとに、近現代の歴史を問う問題。入口は一見難解に見えるが、問われている内容は基本的なものであった。大正時代に問題が偏っていたのが本年度の特徴であろう。

大問6と7は公民分野からの出題。大問6(1)では、商品の販売時点の情報を管理するシステムの略称をアルファベット3字で答える問題。正解は「POS」システムで、他県の入試問題ではあまり出題されていないが、日常生活に密着した問題であった。大問7ではインフォームド・コンセントの内容を文章で書いて説明する問題、民事裁判について答えさせる問題が出題された。(2)の「公共の福祉」に関する問題は、語句の意味を理解したうえで、それを活用する必要がある。偶然ではあるが、本年度の他県の問題でも同様の内容が出題されており、昨今の世相を反映する問題であった。

前期と比べ、特に難易度の変化は見られなかった。25~30字程度の文章で記述する問題が2問、年代の古い順に出来事を並べ替える問題が3問出題されているので、記述問題の練習と年表をもとにした学習をしっかりとしておく必要がある。今後も知識を身につけた上で、それを活用する力がより一層求められていくと思われる。

数学 池田 慶

すべての問題に取り組むための時間配分が勝負を分ける

池田講師

大問1は例年通り基本的な計算問題6問。際立った問題はない。

大問2は反比例の基本式・資料の分析・投影図・確率・作図。投影図では三平方の定理を用いて三角柱の体積を求める問題だった。少し目新しい発想だが難問ではない。確率はさいころ2個の問題。「素数」の意味さえ気をつければよく出る問題として扱える。作図は例年ほど難しくはないが、問題集や過去問題などで見かけないタイプ。正方形の性質を理解していることと、問題文から作図のイメージができるように訓練しておくことが大切。

大問2(5) 一部抜粋

下の図のように,∠B=90°の直角三角形ABCがある。辺AB,BC,CA上にそれぞれ点P,Q,Rをとり,四角形PBQRが正方形となるように3点P,Q,Rを作図によって求めなさい。また,3点の位置を示す文字P,Q,Rも書きなさい。

数学 大門3

大問3は関数。線分の比から座標につなげる考え方。平行四辺形、台形の性質から座標を求める考え方に慣れている必要があった。教科書レベルの単純な代入だけの作業では式や座標をうまく出せないタイプ。難問ではないが、ある程度の経験値がないとこなせない問題だった。オーソドックスな放物線と直線の問題だけでなく、多くのバリエーションをこなすことの重要性を示す問題。初見でなければ悩む問題ではなかった。

大問4は平面図形の証明。近年、円が出題されていたがはじめに用意された図に円はなく、(2)で「3点を通る円」について考える問題が出た。証明の形式は例年通りで、難易度も高くないので過去問題に取り組んでいれば慌てることはない。ただし二等辺三角形の成立条件が必要であったことも踏まえ、一般的な三角形の合同や相似以外の「定理」をしっかり使えるよう練習する必要がある。

大問5は昨年同様規則性の問題。難易度は例年に比べかなり容易。その大きな要因として、「ルール」が理解しやすかったことが挙げられる。規則性による公式がわからなくとも、地道な作業で(3)までできる仕様だった。そのため、大問5に充てられる時間を確保するための全体的な時間配分がうまくいかないと、点が伸びない傾向にあったと思われる。

過去問題をしっかりこなし、出題傾向・時間配分・公式の確認などを事前に行うことが重要。志望校の難易度にかかわらず、基本的な問題を落とさないことを目標にする。例年に比べ、複雑な問題文が少なく、質問内容を理解するのに時間がかかる問題はなかった。「規則性」問題などは中学校ではほぼ取り扱わない。スムーズに解くための公式や考え方を身につけるには学校だけでは知識不足、技量不足に陥りやすい。平面図形では「円」が絡んだ問題が例年出題されており、こちらも学校の問題集だけでは練習不足となるので、過去問題や、他県の入試問題などにどれだけ時間を割いて取り組めるかがライバルとの点数差につながる。また、作図の基本、資料の分析、体積・表面積などは中1の範囲となっており、言葉の意味や公式の利用を事前に確認し、自在に使えるよう練習するとよいだろう。

後期 数学 池田 慶

大問1は計算問題6問。基本的な問題で、レベルは例年と同様だった。

大問2はねじれの位置・球の体積・変化の割合・確率・作図。ねじれの位置、球の体積は共に中1の3学期の学習内容。言葉の意味、公式を確実に定着させていないと手が出ない問題。放物線の変化の割合はa(p+q)といった教科書の内容の発展的な知識を知っていると時間も正確性も優位となった。確率は「6の倍数」の特徴などを知っていると優位であったが、樹形図さえしっかり書けるスキルがあれば得点できる問題なので普段の練習量が重要。作図は平易で前期と同レベル程度。

大問3は関数。(3)は難しかったといえる。(2)の解から等積変形の発想を連想し、三角形を2等分する考え方にする問題だが、かなり入試問題慣れしていないとスムーズには解けない問題。ここで時間を費やしてしまうようだと、後半の問題にじっくり取り組めなくなってしまうので注意が必要。

大問3(3) 一部抜粋

点Cを通り,四角形OBCAの面積を2等分する直線と直線OAの交点の座標を求めなさい。

大問4は平面図形の証明。前期同様「穴埋め⇒書き込み」の2段階証明。「中点連結定理」の利用を促す問題だったが、まず問題文の仮定をしっかり図に落とし込む練習をしておかないと、この発想に気付かない。(2)は(1)の相似比から面積比をつかって求めていく問題。図や与えられた数値がそこまで複雑でないため、この種の問題をこなしてきた生徒にとっては時間もかからなかったと思われる。

大問5は規則性の問題。昨年後期では、近年にない傾向として規則性ではなく、図形の回転移動だったが、今年は規則性の問題が戻ってきた。しかし難易度は過去に比べると前期同様平易で、やはり「ルール」が理解しやすかった。というのも特殊記号を使った計算の例題はこれまでにも各種あり、過去の入試問題や数学検定などにも同様の問題が出題されている。しかし、実際は初見の生徒の多くが「意味がわからない」となる要因は、教科書の中で紹介されないことにあるので、入試過去問題や数学検定など幅広いチャレンジが経験値となることがうかがえる。

前期試験と比べ設問数は同じだが試験時間が10分短いので、より時間配分が重要。例年通り前期より難問は少ないが、これまでの後期入試と同レベルといえる。

千葉県のこれまでの数学では超難問が作図や規則性に見て取れたが、今年度のレベルが今後続いていくとなると、志望校によっては80、90点台を目標に数学の勉強を取り組むことも必要になる。具体的な勉強内容として、大問2(3)のような特殊な公式を使える知識や、学校では学習内容として紹介されにくい大問5のような問題は他県の入試問題や、私立の過去問題などを解くとよい。

また、千葉県独特の傾向の把握も重要。「2段階証明」「相似比と面積比の利用」「規則性の問題」など、過去問題からその傾向はつかめる。しかし、時間配分や具体的な解くためのスキル習得は生徒の受験勉強する環境次第となるといえる。

理科 宮越 涼

記述問題の減少。教科書を丁寧に読み込むことが勝負のカギ

宮越講師

大問1は小問集合。(2)は、地震によって起こる災害に関する問題。普段から、ニュースに関心を持つことが大切である。

大問2は光の反射と屈折。光の反射と屈折についての性質を問われた。入射角、反射角、屈折角の関係を理解していればできた。

大問3は細胞のつくり。(4)では、光合成でできたデンプンは、水に溶けやすい糖に分解して運ぶことが問われた。大問2と3は正解率が高くなると思われる。後半の問題にじっくり取り組むためにも、すばやく解答できるようにしておきたい。

大問4は火山。火山の形の実験は、材料が異なるものの教科書に掲載されている実験と同様であるため、教科書の記載内容をしっかりと確認しておくことが大切である。また、マグマのねばりけ→溶岩や火山灰の色→火山の形→火山の名称を関連付けて覚えておく必要があった。

大問5は溶解度曲線のグラフ。(3)では、20℃の水100gに12g溶けることから、20℃の水90gに何g溶けるかを比例式で計算すれば解けた。問題文が長いので、条件を整理するとよい。また、「比例の関係は比例式で解く」練習を積んでおくと楽に解けるようになる。

大問6は自然界のつながり。(3)の字数制限が付いた記述は新傾向の問題である。問題文の指定から、何が何を食べ、結果的に何が増える・減るのかを整理して書くことが大切。

大問7は中3で学習する斜面上にはたらく力が中心だが、中1で学習したフックの法則も使う問題だった。また、(3)は数学の三平方の定理における直角三角形の長さの比を利用した問題である。

大問7(3)

左側は長さの比が1:√3:2の直角三角形、右側は長さの比が3:4:5の直角三角形となる。斜面方向にはたらく力の作図で出てくる直角三角形も、それぞれの直角三角形に相似となるため、それぞれの台車の斜面方向の重力は、

となる。この台車の上に乗せるおもりも、斜面方向にはたらく力は1つあたりそれぞれ

となる。左に4個、右に3個それぞれおもりを乗せると台車と合わせた斜面方向にはたらく力がともに3Nとなる。

大問8は電池。(1)は中1、(2)は中3、(3)は中2で学習した内容である。1つの問題ですべての学年の内容が出題された融合問題であった。リチウムイオン電池が携帯電話に使われていること、燃料電池が地球温暖化を防止できる可能性があることなど、身近な題材からの出題であった。大問1(2)でも述べたように、ニュースに関心を持つことが大切である。

大問9は気象。(1)ではほとんど出題されたことがない「霧」の天気記号を問われた。また、湿度から空気1m3あたりの水蒸気量を求める方法も出題されやすいので、押さえておきたい。

最近の傾向として、理由や説明をする文章記述問題が減少している。その代わり、説明文中の空欄を補充する問題が増えている。計算問題も、答えを選択肢から選ぶ問題が増えている。実験や観察の結果を理解し、計算の正しい方法を身につけていれば解答がしやすい問題が多くなっている。

入試で高得点を取るためには、教科書の図や記号などを含め、細かいところまで確認をしておくとよい。また、身近なニュースにも関心を持つことで、学習した内容の理解が深まり、得点力も上がる。

【千葉県前期入試理科】出題形式の変化
理科用語を問う記述問題 理由・説明を問う記述問題
平成30年度 4問 1問
平成29年度 5問 1問
平成28年度 6問 3問
平成27年度 6問 3問

後期 理科 宮越 涼

大問1は太陽の観察。(2)では太陽の表面温度が6,000度であることを知っていれば解けた。用語の名称だけでなく、関連する数字もしっかりおさえておくとよい。

大問2は気体の分類。塩素、酸素、水素、アンモニアの4つの気体の性質を問われた。1つひとつの気体の性質を表に整理して覚えておくとよい。

大問3は電流と発熱量。(1)では発光ダイオードの実験結果を見て交流特徴を答える記述問題が出題された。複数の知識が必要ではあるが、器具の性質や実験の結果を整理しておく必要がある。(2)は家庭内での電気器具の使い方からの出題だった。普段から家庭内での電気器具の消費電力に関心を持っておくことが大切である。また、「すべて」選ぶ問題なので1つ見つけて安心しないようすべての選択肢を確認する必要があった。

大問4は植物の分類。(1)は、図の茎の断面図において、維管束の形が双子葉類と単子葉類のものとは異なり、コケ植物には維管束がないことに気づけばシダ植物の維管束であることがわかる。種子植物の分類だけでなく、シダ植物・コケ植物も含めた全体の植物の分類をしっかり押さえておきたい。

大問5は化学変化と発熱および質量。実験1では使い捨てカイロの仕組みから出題された。身の回りにあるものと理科の学習内容とのつながりを普段から意識しておくと良い。(2)は実験2の結果より、加熱後に質量が減少=気体が発生、石灰水が変化しなかった=発生した気体は二酸化炭素ではない、の2点から酸化銀の分解だと気づけば化学反応式が書ける。(3)は、表から粉末Yと残った白い固体の質量比がわかるので、これを使って比例式を立てれば解けた。

大問6は中3の動物の殖え方だが、中2で学習した両生類の特徴も使う問題だった。また、(2)では動物と植物で生殖細胞の名称が異なる点に注意する必要があった。

大問7は日本付近の天気図。過去7年間のうち後期で実に6回出題されている。(1)では温暖前線での雨の降り方について出題。寒冷前線と温暖前線の特徴も整理して覚えておくことが重要である。(2)寒冷前線の通過は、「①気温が下がる」「②風向が北寄りに変わる」ことで判断でき、前線が通過する前後における気象要素の変化を正しく理解しておく必要があった。

大問8は運動とエネルギー。(1)では運動エネルギーと位置エネルギーの移り変わり、(2)では位置エネルギーの特徴を問われる問題だった。また、(3)では仕事を求める公式を使った計算問題だが、使用する数値の単位が移動距離はメートル、力はニュートンを使うことを把握しているかどうかも問われる問題だった。

問題構成は例年通り物理・化学・生物・地学から各2題の出題。近年の傾向では空欄を補充する問題が目立っている。教科書内で用語だけでなく、用語を説明した文をしっかり確認しておくとよい。また、前期入試と比べ計算問題が増えている。しかし、難解な計算を必要とする問題は無く、公式をしっかりと使えるようにしておけば対応が十分可能である。

前期と同様、教科書の内容を細部まで確認することが、高得点のカギであるといえる。

【千葉県後期入試理科】出題形式の変化
理科用語を書く問題 理由や説明をする文章記述問題 空欄補充問題
平成30年度 4問 3問 8問
平成29年度 2問 1問 8問
平成28年度 3問 4問 7問
平成27年度 4問 2問 3問

入試問題の分析 アーカイヴ

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