第4回 中学受験での大人たちの役割って？ Vol.2
みなさんこんにちは。最近このコラムを書くにあたってトピックを探すようになりましたが、まだ全く成果のない井口です。
しかも先日、紙で指先を切りました。思いのほか深く切り、もう痛いのなんの…みなさまもご注意ください。指先の皮膚はすぐ切れます。
さて、今週は先週に引き続いて「中学受験における大人のかかわりかた」について、今週は講師の立場から、お話ししたいと思います。
高校受験、大学受験…と中学受験に限らず受験というものは人生に大きく影響し、今より先を左右する一大イベントの一つといえるでしょう。もちろん、良い結果にするためには時には多少の犠牲も払いながら、たくさん勉強していきます。高校受験は受験するご本人が高校受験の先にある大学受験、さらにはもう一段階先にある就職も見据えるものです。自覚はなくとも社会の中の自分をイメージすることになるわけですから、その意味では大人に近づくための一歩を踏み出すものであるとも捉えることができます。
さて、中学受験はどうでしょうか。まだ小学生だし社会の中の自分がどうあるかなんて…？いえいえ、むしろ中学受験を考えられている方のほとんどは、「その先の先」を見据えています。2020年の大学入試改革については報道されることも多くなってきたため、一度は耳にしたことがある方がいらっしゃるかと思いますが、この改革により高校や中学校、そして小学校の環境も変化することが予想されます。
具体的に変化にどう対応していくかはまだ手探りですが、このような先に起きるべき変化に対し、注目されているかたが多いのだなと思うことがよくあります。これから先、つまりお子さんが大人になったときについて早くから考えることのメリットは多々ありますが、その最たるものは「大人になるまでにはまだ時間がある」という時間的猶予が挙げられると思います。
小学生の時にどんな大人になりたいか、どのような仕事をしたいか、と具体的に考えることは、実現までの時間をどうすごすかを思い描くことと等しい。もちろん、生きていく中で考えに変化が訪れるものですが、将来に対して初めから何か考えや希望を持っていて、いわばその「第一案」を練り直し、修正していくのと、行き当たりばったりで進路を決めていくのとでは、修正に対する達成感や充実感という点で異なるものです。
また、将来について考えた時、初めて「どうしよう」と思っても、選択肢があるとは限らないのです。曖昧な表現になりますが、「それしかないからそれを選ぶしかなかった」という進路決定になってしまうことも考えられる。大人になるまでに歩んでいくうえで、いろいろと迷うことはあるでしょうが、視野を広く持ち多くの選択肢を得ることができる、それが中学受験をすることのメリットの一つではないかと思うのです。
他にメリットを挙げるとすると、これも時間的猶予と関わる点ですが、小学生には勉強する時間が多く確保できるということです。勉強時間の確保が出来るかどうかは合格・不合格に少なからず影響しますから、この時間確保が出来るのは受験に向かう上ではアドバンテージです。中学生や高校生は、部活動や委員会活動などなど、勉強以外にやるべきことがたくさんあります。
もちろんこのなかでも、リーダーシップやコミュニケーション能力など、人と関係を築いていくことについて学ぶことが多く、どれも大切だと言えるでしょう。部活動でキャプテンになれば、自分の事は二の次で周りをよく見ることが求められ、それは勉強だけでは得られない機会となります（経験者は語る。人生でとても大切です、コレ）。しかしながら、他の事に時間を持っていかれることにより、勉強の時間は必然的に減るわけです。小学生はそういった時間の制約がまだ多くないということですね。それだけに時間の使い方を身につけることが大切になってくるのですが、勉強することと関連付けて時間の使い方を身につけられたら、怖いものなしだと思いませんか。
時間の使い方だとか、勉強だとか、うちの子にはまだ早い、というそこのお母様。早いも遅いも、まだ始まっていません。勉強はやって初めて、いろいろなことに気付けます。
知らなかったことを驚きや感動と共に知る、そういう経験をたくさんさせてあげることもまた、大人たちの役割です。
これまで中学受験、高校受験など多くの受験生を見ていて、こんなふうに感じました。少しでも「ふぅ～ん」と思っていただけたら幸いです。
次回は、講師がもつ役割について、お話しします。勉強の話が中心になるかと思いますが、どうかお楽しみに！
