第3回 中学受験での大人たちの役割って? Vol.1
こんにちは!いよいよ本格的に寒さが増して、冬を迎えようとしていますが、みなさん風邪など引かれていませんでしょうか。今年はインフルエンザの流行が早いようです。手洗いうがいで防ぎましょう。…なんか塾の先生っぽくない始まりになっちゃいましたね。
さて、コラムも今回で3回目となりますが、今回から2週にわたり「中学受験における大人の役割」について考えてみたいと思います。
第1回目の今週はご家庭でお父さん、お母さんにお願いしたい、お子さんとのかかわりについて、講師の目線からお話しします。
まず第一に分かっておいていただきたいことは、中学受験は、入試までに必要となる勉強が明らかに高度であるということです。
中学校、場合によっては高校で習得するような内容を入試までに身につけることが求められたり、中学受験をしなければ教わることのない内容が少なからず存在したりします。
たとえば…そうですね、「いもづる算」って、ご存知でしょうか。いもづる算の詳しい説明は省略しますが、中学受験の算数では必ず出てきます。
このような、小学校に通っているだけでは触れるきっかけすらないことがらで、どれくらい得点できるかで合否が決まるわけです。
高度な内容を1度習っただけで身につけられるか、2度、3度と回数を重ねる必要があるかはお子さんによりけりですし、早く身につくことだけが良いというわけではありません。しかしながら、「覚えられた」「身についた」という段階にたどり着けるかは、本人の学習量に加え、お子さんの周りにいる大人たちに負うところが大きい。お子さんの周りの大人、すなわち講師と保護者の皆様ですね。
一般的に、大人は子供よりさまざまな経験をしているので「これはやってはいけない」「これをするにはこうした方が良い」という方法論が構築されています。それを子どもたちに伝えて、問題を解けるようにしていくことが我々講師の役割につながっており、このあたりは来週の内容の中心になるのですが、伝えたところですぐ出来るようになるとは限らないということは、保護者の皆様に改めましてお伝えしたい点です。
なにごとも何度も経験していくうちにできるようになっていくものですが、それはつまり「子ども自身が何度も経験しなければならない」ということです。同時に、大人は「失敗を許す」という視点を宿さねばならない。
問題を解くうえで必要な知識や解法だけでなく、講師が黒板に書いたことをノートに写しながら、合間合間に受ける注意を書き添え、さらに合間合間に入る講師のしょうもないダジャレに笑い…小学生も大変です….。というのは冗談ですが、問題を解く以前の授業の受け方からして、何度も経験しないと身についていかないのが小学生です。
そこでお願いしたいのが、生活リズムを一緒に作ってあげることです。さんざん勉強の話から始めておいてナンダソリャ!と思われるかもしれませんが、長い講師生活を振り返ると、生徒さんが落ち着いて勉強するようになるかどうかは、朝起きる時間、ご飯を食べる時間、宿題をする時間、遊ぶ時間、夜寝る時間、これら一日の時間の使い方が決まっているかが影響するように思われます。
生活時間を整えるということは大切なうえ、保護者様以外には関われないポイントでもあります。勉強の進度や出来についてのほうが数値化できることもあり、気になりやすいところです。しかしながら、勉強に関わるところはどうかわたくし達講師に、どうかお任せいただきたい。授業前後のやりとりや、宿題の提出の様子などから、その子が普段どう生活しているかは見えるものです。
就寝時間が遅いな、朝起きられてないな、と思っても、実際に整えるというところまでは、どうにも手が届かないのです。
保護者様にはだからこそ、おうちでの時間の使い方をお子様たちにご指南いただきたいのです。身体的な発達が本格的でない小学生が、夜遅くまで眠い目をこすって勉強しても、身にはつきません。やろうとしているところを机から引きはがして布団に押し込むくらいのことを、保護者様にはして頂きたいと思います。
中学受験はお子様、保護者様、我々講師の三人四脚で乗り越えるものです。立場は違えど、失敗しながらも何度もトライする子どもを見守りつつ応援するというスタンスは、大人たちは共通して持っているべきものです。一緒に様々なことに対処しながら、受験に向かわせて頂きたいと思っています。
次回は、講師がもつ役割について、お話しします。勉強の話が中心になるかと思いますが、どうかお楽しみに!